米倉昌達

米倉昌達：薬学と政治の道を歩んだ華族子爵

米倉昌達（よねくらまさよし/まさたつ）は、明治から昭和初期にかけて活躍した、稀有な経歴を持つ人物でした。薬学者として研究に励み、教育者として後進の育成に尽力する一方、華族として貴族院議員を務め、政治にも関与しました。その生涯は、異なる世界の融合と、時代の変遷を映し出す鏡と言えるでしょう。

華族としての始まりと爵位継承

1886年（明治19年）、山口弘達の子として生まれた昌達は、旧姓を山口、旧名を重士と名乗っていました。1913年（大正2年）、子爵米倉昌臧の養子となり、昌達と改名。その後、1916年（大正5年）に養父の死去に伴い、子爵位を継承しました。この出来事が、彼の華麗なる人生の幕開けとなりました。

研鑽を積んだ薬学者としてのキャリア

学問への飽くなき探究心は、彼のキャリアを大きく彩りました。1911年（明治44年）、東京帝国大学医科大学薬学科を卒業、さらに1916年には同大学医学科を卒業するなど、高い学力と研究への情熱を証明しています。

卒業後は、東京帝国大学伝染病研究所技手を皮切りに、華々しいキャリアを歩みます。東京帝国大学医科大学化学教室副手、同附属医院分院薬局長、日本医学専門学校教授兼学生監、千葉医科大学講師、京都薬学専門学校校長、昭和女子薬学専門学校校長、日本医科大学教授、同校学生監兼予科主任など、数々の要職を歴任しました。これらの職務を通して、彼は薬学の発展に大きく貢献し、多くの学生を育成しました。

貴族院議員としての政治活動

学術研究の傍ら、彼は政治の世界にも足を踏み入れました。1918年（大正7年）、貴族院子爵議員に選出され、研究会に所属して活動。死去するまで3期にわたって議員を務め、貴族院において重要な役割を果たしました。貴族院での活動を通して、彼は学術界の知見を政治に反映させようとしたのかもしれません。

家族とその後

彼の私生活にも目を向けると、先妻に養父の長女である寿子、後妻に丸尾錦作の長女である道子を迎えました。長女の達子は、養子である五郎と結婚しています。養子である五郎は、市井牧三郎の七男でした。

1937年（昭和12年）に死去した後は、米倉家は女戸主となり、栄典を失うことになります。

まとめ

米倉昌達の生涯は、華族、薬学者、政治家という複数の顔を持つ、多様な才能と活躍を示すものです。彼の功績は、薬学分野への貢献だけでなく、貴族院議員としての政治参加、そして数々の教育機関における指導者としての役割にも及びます。彼の生き様は、現代社会においても、多様な分野で活躍する人々にとって、大きな示唆を与えてくれるでしょう。彼の業績は、日本の薬学史、政治史、そして教育史において、重要な一ページを飾るものと言えるでしょう。

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