米国税理士

米国税理士（Enrolled Agent、EA）

米国税理士、またはEA（Enrolled Agent）は、アメリカ合衆国の内国歳入庁（IRS）が定めた国家試験を通じて資格を得た専門家です。現在、全世界で約48,000人のEAが活動しています。この資格は、1884年に制定されたもので、米国で最も古い公的資格に位置づけられています。

資格の概要

EAの資格は、合衆国法典第31条に基づき登録され、詳細な業務上の義務や罰則は、連邦財務省の規則230（Treasury Dept. Circular 230）に規定されています。EAは、日本での税理士とは異なり、税務申告作成に関して特別な業務独占資格を有しています。他者も税務申告を行うことは可能ですが、EAやCPA、弁護士といった資格者に対して様々な規制が適用されます。特に、税務査察の代行や税務裁判所での代理業務は、EAと弁護士に限られています。

EAの業務内容

EAは主に税務申告書の作成、税務代理および税務相談を行います。顧客に対する守秘義務はありますが、違法な行為に対する守秘義務は存在しないため、その点で弁護士と異なります。また、法人設立や経理業務に関与することもあります。

日本企業の海外投資や米国企業の対日投資、及び二国間にわたる税務問題のコンサルティングが重要な役割となっています。日米間の経済的結びつきが強化される中で、税務問題も増加していますが、日本人のEA資格者は依然として少数派です。

資格取得と試験内容

EA資格は2005年からコンピュータ試験に切り替わり、受験者はPrometric Test Centerにて試験を受けます。受験科目は「個人」、「法人」、「代理業務及び実務」の3つに分かれており、それぞれ100問が出題されます。試験の合否はその場で確認でき、各科目の合格は2年間有効です。すべての科目に合格すると、IRSに登録申請書を提出し、認可を受けます。

資格維持と継続教育

EAは資格を維持するために、弁護士やCPAと同様に継続教育を受けなければなりません。毎年24単位を取得する必要があり、3年ごとに資格更新が行われます。これに失敗すると資格が停止されるため、継続教育は非常に重要です。

所属団体と将来の展望

EAは、NAEA（全米税理士協会）や各州における税理士協会に所属することができます。また、日本にはJSEA（日本税理士協会）が存在します。これらの団体は、業界における継続教育や最新情報の提供を行い、EAとしての専門性を高める役割を持っています。

将来的には、IRSが税務業務において全有資格者化を進めているため、税務業務の品質向上が期待されています。2011年からは新たな資格制度も導入され、EAの重要性が一層高まることが見込まれています。

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