米山リサ

米山リサ（よねやま りさ、1959年 - ）は、アメリカ合衆国出身の日米文化研究者であり、現在はカナダのトロント大学で教授を務めています。文化人類学者である米山俊直氏の一人娘としてアメリカのイリノイ州で生まれ、幼少期を京都で過ごしました。彼女は、国際的な視点と深い文化的理解を基に、学術研究に貢献しています。

学歴と職歴

米山リサは、1982年に上智大学外国語学部ドイツ語学科を卒業後、1984年に同大学院国際関係論修士課程を修了しました。その後、アメリカに渡り、1993年にスタンフォード大学人類学部で博士号を取得しました。彼女の学術的なキャリアは、1992年から2011年までカリフォルニア大学サンディエゴ校での教員職から始まり、その後、トロント大学に移籍し、現在に至ります。

研究分野と業績

米山リサの研究は、文化、歴史、そして記憶といったテーマを中心に展開されています。特に、戦争、暴力、多文化主義といった複雑な問題を扱い、その分析は国際的な学術界で高く評価されています。彼女の著作は、これらのテーマに関する重要な貢献となっており、多くの研究者や学生に影響を与えています。

主な著書

『Hiroshima Traces : Time, Space, and the Dialectics of Memory』（1999年）：この著作では、広島の記憶とそれが時間、空間、そして人々の意識の中でどのように展開されるかを詳細に分析しています。
『広島：記憶のポリティクス』（2005年）：上記の著書を日本語に翻訳したもので、日本の読者にも彼女の研究が広く知られるきっかけとなりました。
『暴力・戦争・リドレス 多文化主義のポリティクス』（2003年）：多文化主義の視点から、暴力と戦争、そしてその補償の問題について考察した著作です。
『Cold War Ruins: Transpacific Critique of American Justice and Japanese War Crimes』（2016年）：この著作は、冷戦期におけるアメリカの正義と日本の戦争犯罪に対する批判的な視点を提供し、アジア系アメリカ人研究協会から人文・文化研究部門の最優秀図書賞を受賞しました。

共編著

『Perilous Memories : the Asia-Pacific War(s)』（2001年）：アジア太平洋戦争の記憶に関する共同編集で、多角的な視点からこの戦争を捉えています。

翻訳

『天皇のページェント 近代日本の歴史民族誌から』（1994年）：タカシ・フジタニの著作を翻訳し、日本の歴史と文化に対する理解を深めることに貢献しています。

その他の活動

米山リサは、学術研究の他に、教育活動にも熱心に取り組んでおり、多くの学生を指導しています。また、彼女の父である米山俊直氏の追悼記事や、自身の家族関係についての記事も発表しており、学術的な視点だけでなく、個人的な経験からも洞察を深めています。

米山リサの研究は、複雑な歴史的背景を持つ社会における文化、記憶、そしてアイデンティティの問題を理解するための貴重な手がかりを提供しています。彼女の学術的な貢献は、今後も多くの研究者や学生に影響を与え続けるでしょう。

もう一度検索