米村千代

米村 千代（よねむら ちよ）は、1965年に誕生した日本の社会学者です。家族社会学および歴史社会学を専門分野とし、現代社会における家族や「家」のあり方について、歴史的な視点も交えながら多角的に研究を進めています。現在、千葉大学文学部行動科学コースの教授として教鞭をとっています。

岡山県に生まれた米村千代は、国際基督教大学を卒業後、東京大学大学院人文社会系研究科に進学しました。同博士課程を修了し、社会学の博士号を取得しています。大学院での研究を経て、千葉大学文学部に着任。行動科学コースの教授として、研究活動と後進の育成に携わっています。また、文学部長を務めた経験もあります。

米村千代の主要な研究テーマは、日本の「家」の構造とその歴史的変遷です。特に、近現代における「家」が、いかにしてその存続を図ってきたのかという「存続戦略」に焦点を当て、歴史社会学的な分析を行っています。この研究成果は、勁草書房から1999年に出版された単著『「家」の存続戦略―歴史社会学的考察』に結実しました。

また、2014年には弘文堂より単著『「家」を読む』を刊行。ここでは、「家」を単なる親族集団としてだけでなく、社会的な単位、あるいは文化的なシンボルとして読み解く試みを行っており、現代社会における家族や人間関係の変容を理解する上で重要な視点を提供しています。

単著のほか、多数の共著や編著にも参加しており、その研究活動の幅広さを示しています。代表的な共著・編著には以下のようなものがあります。

『岩波講座 現代社会学19 ＜家族＞の社会学』（岩波書店、1996年）
『近代化と社会階層（日本の階層システム１）』（東京大学出版会、2000年）
『家族観の変遷 （日本家族史論集６）』（吉川弘文館、2002年）
The Stem Family in Eurasian Perspective: Revisiting House Societies, 17th-20th Centuries (Peter Lang Pub Inc.、2009年）
神原文子・杉井潤子・竹田美知 編著『よくわかる現代家族』（ミネルヴァ書房、2009年）
國方敬司・長谷部弘・永野由紀子 編著『家の存続戦略と婚姻－日本・アジア・ヨーロッパ』（刀水書房、2009年）
岩上真珠 編著『〈若者と親〉の社会学――自立をめぐる意味の変容』（青弓社、2010年）
米村千代・数土直紀 編『社会学を問う』（勁草書房、2012年）
『岩波講座 日本の思想 第6巻 秩序と規範 －「国家」のなりたち』（岩波書店、2013年）
比較家族史学会 編『現代家族ペディア』（弘文堂、2015年）
藤崎宏子・池岡義孝 編著『現代日本の家族社会学を問う 多様化のなかの対話』（ミネルヴァ書房、2017年）
西野理子・米村千代 編著『よくわかる家族社会学』（ミネルヴァ書房、2019年）

これらの著作からは、家族構造や家族観の変遷、若者と親の関係性、社会階層と家族、そして「家」の存続戦略といった、家族社会学と歴史社会学における重要なテーマに対する米村千代の研究姿勢が見て取れます。国内外の研究者との共同作業も多く、学術交流にも積極的です。

現在も千葉大学文学部教授として、教育、研究活動に取り組んでおり、日本の家族や社会に関する理解を深める上で重要な役割を果たしています。その研究成果は、学術界だけでなく、広く社会に対しても日本の家族の過去、現在、そして未来を考える上で貴重な示唆を与えています。

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