粉乳

粉乳とは、牛乳や生乳などの乳製品から水分を蒸発させ、粉末状にしたものです。この加工技術によって、乳の保存性を高め、輸送や長期保存を容易にしています。粉乳は、その製造方法や原料によって様々な種類があり、それぞれに異なる特徴と用途があります。

粉乳の種類

1. 全粉乳

全粉乳は、生乳や牛乳からほぼすべての水分を取り除いて粉末状にしたものです。乳の成分がほぼそのまま残っており、濃厚な風味と栄養価が特徴です。主に、お菓子やパンなどの製菓・製パン材料として使用されるほか、飲料や料理にも利用されます。

2. 脱脂粉乳

脱脂粉乳は、生乳や牛乳から乳脂肪分を取り除いた後に、水分を蒸発させて粉末状にしたものです。脂肪分が少ないため、低カロリーでさっぱりとした風味が特徴です。パンやスープなどの料理に使われることが多いほか、乳製品の原料としても用いられます。

3. クリームパウダー

クリームパウダーは、生乳や牛乳から乳脂肪分以外の成分を取り除き、水分を蒸発させて粉末状にしたものです。乳脂肪分を分離しているため、他の粉乳に比べて脂肪分が少なく、乳の風味は残しつつも、あっさりした味わいです。主に飲料や製菓材料として使われます。

4. ホエイパウダー

ホエイパウダーは、乳清（牛乳を酵素や酸で処理した際に分離する液体）から水分を蒸発させて粉末状にしたものです。タンパク質やミネラルを豊富に含み、スポーツサプリメントやプロテインの原料として利用されることが多いです。

5. 蛋白質濃縮ホエイパウダー

蛋白質濃縮ホエイパウダーは、ホエイパウダーから乳糖を除去し、タンパク質の含有量を高めたものです。乳糖不耐症の方でも摂取しやすく、プロテイン製品やスポーツドリンクなど、タンパク質強化が必要な食品によく利用されます。

6. バターミルクパウダー

バターミルクパウダーは、バターを製造する際に残る液体（バターミルク）から水分を蒸発させて粉末状にしたものです。独特の風味と酸味があり、パンケーキやスコーンなど、焼き菓子の材料として使われることがあります。

7. 加糖粉乳

加糖粉乳は、生乳や牛乳に砂糖（しょ糖）を加えてから水分を蒸発させて粉末状にしたもの、または、全粉乳に砂糖を加えたものです。甘味がついているため、そのまま水や牛乳に溶かして飲むことができるほか、製菓材料としても使用されます。

8. 調製粉乳

調製粉乳は、生乳や牛乳、またはそれらを原料とした食品を加工し、乳幼児に必要な栄養素を加えて粉末状にしたものです。特に乳児用のミルクとして重要であり、赤ちゃんの発育に必要な栄養素をバランス良く含んでいます。

粉乳は、その用途に応じて様々な種類が製造されており、それぞれに特徴があります。保存性、栄養価、使いやすさなどから、食生活において重要な役割を果たしていると言えるでしょう。

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