粉末焼結積層造形法

粉末焼結積層造形法（Selective Laser Sintering）

粉末焼結積層造形法（Selective Laser Sintering: SLS）は、粉末状の材料を選択的に焼結することで、立体的な形状を作り出すラピッドプロトタイピング技術、すなわち3Dプリンティングの一種です。この技術は、特に複雑な形状の造形物を作成する際に有効で、幅広い産業分野で利用されています。

技術の変遷

SLS技術は、2014年2月に基本特許の保護期間が終了し、その後、技術開発と普及が加速しました。現在では、より広い概念である粉末床溶融結合法（Powder bed fusion）という名称で呼ばれることもあります。これは、SLSが粉末床溶融結合法の一つの方式として位置づけられるようになったことを示しています。

原理

SLSの基本的な原理は、熱可塑性樹脂や金属などの粉末材料を、レーザーや放電などの熱エネルギーによって選択的に溶融・焼結させることで立体形状を形成することです。この際、材料の粉末は、熱によって溶融または軟化する性質を持つことが必要です。このため、比較的幅広い種類の材料が使用できるという利点があります。

樹脂粉末の場合

樹脂粉末を材料とする場合、SLSではオーバーハング形状（張り出し部分）を造形する際に、熱溶解積層法（FDM）や光造形法（SLA）で必要となるサポート材が不要となる場合があります。これにより、より複雑な形状の造形物を比較的容易に作成することができます。

金属粉末の場合

金属粉末を材料とする場合には、造形物の自重による変形を抑制し、安定した造形を行うために、サポート材が必要となる場合があります。これは、金属材料の特性上、樹脂材料よりも変形しやすいためです。

レーザー焼結法

SLSの中でも、レーザー焼結法は、高出力レーザーを照射することで材料を加熱し、成形する技術です。この方式は、合成樹脂のような比較的融点の低い材料から、タービンに使用される耐熱合金のような高融点の金属材料まで、幅広い材料に対応できるのが特徴です。

特徴

SLSによって作成された造形物は、積層構造によって形成されるため、完全に元の材料と同じ物性を持つわけではありません。しかし、非常に近い物性を得ることが可能なため、幅広い用途に活用されています。具体的には、試作品（プロトタイプ）の作成から、最終製品の製造まで、様々な段階で使用されています。

まとめ

粉末焼結積層造形法は、複雑な形状の造形物を効率的に作成できる3Dプリンティング技術として、広く利用されています。材料の選択肢も広く、様々な分野での応用が期待されています。

外部リンク

OpenSLS – An Open Source Project Creates a Sub-$15K Selective Laser Sintering 3D Printer
OpenSLS
* MillerLabFTW

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