粒状性

写真における粒状性とは、写真フィルム上の濃度が均一でなく、ランダムにばらつくことで生じる粒状のテクスチャのことです。この粒状性が悪い、つまり粒が粗いほど、写真がざらついた印象になります。

RMS粒状度

RMS粒状度（Root Mean Square Granularity）は、この粒状性を評価するための指標の一つです。均一に露光された写真フィルムの濃度ばらつきを、二乗平均平方根（RMS）として数値化したものです。この指標は、コダック社によって開発されました。

測定方法

RMS粒状度の測定は、以下の手順で行われます。

1. 一定の露光量で均一に露光し、現像したフィルムをサンプルとして使用します。
2. このサンプルの濃度を、狭い視野（直径48マイクロメートル）の濃度計を用いて、複数箇所で測定します。
3. 測定した各点の濃度データから、特性曲線上の値に対する濃度のばらつきをRMS値として算出します。
4. サンプルへの露光量を段階的に変化させ、同様の測定を繰り返します。これにより、露光量と濃度のRMS値の関係を示すRMS曲線が得られます。

ネガフィルムの場合、RMS曲線は露光不足時に最も高い値を示し、粒状性が最も悪い状態となります。反対に、適正露光またはやや露光過多の場合に、粒状性が最も良くなります。

RMS Granularity RATING と RMS Granularity NUMBER

RMS粒状度には、RMS Granularity NUMBERとRMS Granularity RATING（またはRMS Granularity SCALE）という2種類の指標が存在します。これらは異なる概念を表しています。

RMS Granularity NUMBERは、フィルムの濃度の標準偏差を単純に数値化したものです。この数値が高いほど、フィルムの粒状性が悪いことを意味します。
RMS Granularity RATINGは、フィルム同士の相対的な粒状性を比較するための指標です。RMS Granularity RATINGが1上がるごとに、RMS Granularity NUMBERはおよそ2倍になります。例えば、RMS 5のGranularity RATINGを持つフィルムは、RMS 4のGranularity RATINGを持つフィルムと比較して、粒状の粗さが約2倍であると解釈できます。

つまり、RMS Granularity NUMBERはフィルム単体の粒状性を表す絶対的な数値であるのに対し、RMS Granularity RATINGはフィルム間の粒状性を比較するための相対的な指標と言えます。

粒状性は、写真の画質を左右する重要な要素の一つであり、特にフィルム写真においては、フィルムの選択や現像条件などを検討する上で考慮すべき点です。

関連事項

* ISO感度 : フィルムやデジタルカメラの撮像素子の感度を表す指標。ISO感度が高いほど、より暗い環境下での撮影が可能になりますが、一般的に粒状性が悪くなる傾向があります。

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