粟津湖底遺跡

粟津湖底遺跡：琵琶湖に眠る縄文の記憶

粟津湖底遺跡は、滋賀県大津市晴嵐沖の琵琶湖湖底に位置する縄文時代の遺跡です。この遺跡は、かつて瀬田川河口付近の琵琶湖東岸に形成された集落の跡と考えられています。しかし、その後の環境変動によって湖水に水没し、現在に至っています。水没の原因については、水位の上昇と地盤の沈降という二つの説が存在します。

発見と調査

遺跡が注目を集めるきっかけとなったのは1952年。地元の漁師が漁の網にかかった縄文土器を引き上げたことでした。その後、1980年代以降に本格的な潜水調査やボーリング調査が実施され、東西190メートル、南北230メートルに及ぶ広大な範囲に、3層からなる貝塚が確認されました。

貝塚と出土品

貝塚からは、大量の貝殻だけでなく、当時の人々が使用していた土器や、クリ、トチ、クルミなどの食料も発見されています。これらの出土品は、縄文時代の西日本内陸地域における人々の生活様式や食文化を知る上で、非常に貴重な情報源となっています。

遺跡の重要性

粟津湖底遺跡は、水没という特殊な環境下にあったため、有機物の保存状態が比較的良好であり、他の遺跡では見られないような資料も発見されています。これにより、当時の人々の生活や文化、自然環境などについて、より詳細な情報を得ることが可能になりました。この遺跡は、西日本内陸部の縄文文化を解明する上で、非常に重要な役割を果たしています。

参考文献

小笠原好彦「粟津湖底遺跡」（『滋賀県百科事典』大和書房、1984年） ISBN 978-4-479-90012-2
大塚達朗「粟津湖底遺跡」（『国史大辞典 15』吉川弘文館、1996年） ISBN 978-4-642-00515-9

関連項目

* 海底遺跡

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