糞禮記

方榮雄『糞禮記』：運命に翻弄される女性の物語

方榮雄（パン・ヨンウン）が1967年に発表した小説『糞禮記（プルレギ）』は、その衝撃的な内容で多くの読者の心を掴みました。文学雑誌『創作と批評』に掲載されたこの作品は、厠で生まれたことから「糞禮（プルレ）」という名を与えられた女性の一生を描いています。貧困、暴力、そして愛憎が複雑に絡み合い、人間の業を描き出した作品として、高く評価されています。

映画版『糞禮記』

1971年には、ユ・ヒョンモク監督によって映画化されました。映画版もまた、原作の持つテーマを忠実に再現し、大きな反響を呼びました。

あらすじ

物語は、母親が厠で産み落としたことから「ブンレ（糞禮）」と名付けられた女性が、貧困の中で成長していく姿から始まります。彼女は、既婚者のヨンパルに乱暴され、絶望の中でヨンチョルの内妻となります。しかし、ヨンチョルは賭博好きで家庭を顧みず、しかも性的不能者でした。ブンレは献身的に夫に尽くしますが、彼女を諦めきれないコン・ジョウシは、陰ながらブンレを見守っていました。ある日、ヨンチョルは文無しとなり、ブンレに暴力を振るい、家から追い出してしまいます。それを知ったジョウシはヨンチョルを殺害し、ブンレは精神的に追い詰められ、気が狂ってしまうのです。

キャスト

ブンレ：ユン・ジョンヒ
ヨンチョル：イ・スンジェ
ヨンパル：ホ・ジャンガン
コン・ジョウシ：名前の記載なし
その他：チェ・ナミョン、チュ・ジュンニョ、サ・ミジャ、アン・インスク

公開と受賞

映画は1971年5月6日に國都劇場で18禁映画として公開され、96,281人の観客を動員しました。

また、数々の映画賞を受賞しています。

第10回大鐘賞：最優秀監督賞（ユ・ヒョンモク）、最優秀女優賞（ユン・ジョンヒ）、最優秀助演女優賞（サ・ミジャ）、最優秀音楽賞（キム・ヒジョ）
百想芸術大賞：最優秀演技賞（男性部門）（ホ・ジャンガン）

フィルムの再発見と再公開

長らくフィルムが行方不明となっていましたが、外国語版プリントが海外で発見され、韓国映画振興委員会によって修復されました。そして、2009年5月18日にソウル市内の映画館で再公開され、再び注目を集めました。

テレビドラマ版『プルレギ』

1992年には、SBSによってテレビドラマ化されました。タイトルは『プルレギ（분례기）』。月火ドラマ枠で放送され、こちらも話題となりました。

キャスト

トンレ：シン・ヨンジン
チョ・ヨンチョル：イ・ドンジン
ソク書房：ユン・ムンシク
トンレの母：ユン・ヨジョン
その他：ヨ・ウンゲ、ナ・ムニ、キム・インムンなど

『糞禮記』は、一人の女性の過酷な運命を通して、社会の歪みや人間の業を描き出した作品です。映画、ドラマと形を変えながら、そのメッセージは今もなお、私たちに問いかけ続けています。

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