糧船湾

糧船湾（りょうせんわん、英語：High Island）は、かつて香港新界西貢区に存在した島であり、西貢東部の糧船湾海に浮かんでいました。かつての名称は糧船湾洲で、香港で4番目に大きな島として知られていました。しかし、1969年に開始された万宜水庫（まんぎすいこ）の建設プロジェクトによって、島の両端に堤防が築かれ、西貢半島と地続きになりました。

この島が特筆される理由の一つは、その地質にあります。島の沿岸部一帯には、約1億年以上前に形成されたとされる、見事な六角柱状の火山岩群が広がっています。これらの岩石は、過去の火山活動の痕跡を今に伝える貴重な証拠であり、自然の驚異を感じさせます。この独特な地形は、地質学的にも非常に重要な価値を持っており、多くの研究者や観光客を魅了しています。

糧船湾には、地元の漁業航海者たちの守護神として崇められている「媽祖（まそ）」を祀った天后廟（てんこうびょう）があります。この廟は、地域住民の信仰の中心として、長年にわたり人々の心の拠り所となってきました。廟を訪れることで、この地域の歴史や文化、信仰に触れることができます。

また、糧船湾ではウニの養殖も行われています。穏やかな湾内は、ウニの養殖に適した環境であり、新鮮なウニは地域の名産品として知られています。養殖場では、ウニの生態を観察したり、獲れたてのウニを味わったりすることもできます。

かつて島であった糧船湾は、万宜水庫の建設によってその姿を変えましたが、今でも自然の美しさと歴史、文化が調和した魅力的な場所として、多くの人々に愛されています。海岸沿いの遊歩道を散策したり、天后廟を訪れたり、ウニを味わったりと、様々な楽しみ方ができます。地質学的な興味を持つ人、歴史や文化に触れたい人、自然を楽しみたい人、誰にとっても糧船湾は訪れる価値のある場所です。

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