約束 (橋幸夫の曲)

橋幸夫のシングル「約束」は、1988年5月3日にリバスターレコードよりシングルカセットとして発売された、彼の通算158枚目の作品です（品番: RTM-0035）。この楽曲は、橋自身が「プライベート盤」と位置づけるほど、個人的な想いが強く込められた一曲となっています。

タイトル曲「約束」の作詞は、橋幸夫の妻である橋凡子氏が、勅使原弥生というペンネームを用いて手がけました。作曲は正司龍宏氏、編曲は原田良一氏が担当しています。カップリング曲「愛の気（メロディー）」も同様に勅使原弥生氏が作詞を務め、作曲は橋幸夫が自身のペンネームである勅使原煌名義で行い、編曲は京建輔氏が担当しました。

橋夫妻による楽曲共作は、「約束」が初めてではありません。1974年発売のシングル「小さな寝顔」や、1976年のオリジナルアルバム『ふたり』など、過去にも夫婦で作品を生み出してきました。これらの共作では、夫人が作詞し、橋が作曲を担当するという形式が通例でした。しかし、本作のタイトル曲「約束」では、夫人の作詞に対し、作曲は外部の正司氏が手がけている点が特徴的です。一方で、カップリング曲では通例通り夫人の作詞、橋幸夫（勅使原煌名義）の作曲という組み合わせとなっています。

橋幸夫自身は、「約束」について「ステージ用の曲として創ったんですが、好評で、出して欲しいというリクエストをたくさんいただいたので、発売した」と語っています。また、この楽曲には当時の彼の「私のメッセージを込めた」つもりだと述べており、その時期の心境やリスナーへの思いが反映されていることがうかがえます。

音楽評論家の小野善太郎氏は、「約束」の歌詞の冒頭部分「あなたと私、巡り会うときは、早過ぎもせず、遅過ぎもせず」に触れ、長年にわたる芸能活動を経てきた橋幸夫ならではの円熟した「境地」が表現されていると評価しています。

橋幸夫は、作曲を手がける際にいくつかの名義を使用してきました。キャリアの初期には風間史郎名義を好んで用いましたが、その後は勅使原煌、あるいは自身の本名である橋幸夫名義を用いるようになります。「愛の気（メロディー）」で使われた勅使原煌は、後期の作曲名義の一つです。

「約束」は、発売後に好評を博し、橋幸夫がビクターエンタテインメントに復帰した後、新たに再吹込みが行われ、再版もされています（品番: NTS-2）。

この楽曲は、いくつかの主要なアルバムやベスト盤に収録されています。代表的なものとしては、1990年12月15日発売の『橋幸夫／ベスト・シングル・コレクション』（リバスター、品番: RVCI-00003）、2001年10月24日発売の『橋幸夫 全曲集』（品番: VICL-60812）などがあります。また、2015年10月28日に発売されたCD-BOX『橋幸夫ベスト100+カラオケ15』（CD-BOX 5+1枚組）のDisc2にも収録されており、時を経ても多くのファンに聴き継がれていることがわかります。

以上のように、シングル「約束」は、橋幸夫にとってプライベートな側面とキャリアにおけるメッセージが込められた重要な作品であり、妻との共作関係や名義の使用といった興味深い背景を持つ一曲と言えるでしょう。

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