約束 (渡辺徹の曲)

渡辺徹「約束」：時代を彩った名曲とその舞台裏

1982年8月25日、渡辺徹の2枚目のシングルとしてリリースされた「約束」は、彼の代表曲として広く知られています。EPIC・ソニー（現：ソニー・ミュージックレーベルズ エピックレコードジャパンレーベル）から発売されたこの曲は、オリコンチャートで最高2位を記録し、当時人気を博していたTBS系音楽番組『ザ・ベストテン』では、なんと4週連続で1位を獲得するという快挙を成し遂げました。1982年の年間ランキングでも33位にランクインし、その人気ぶりを証明しました。

ドラマとの相乗効果

当時、渡辺徹は人気刑事ドラマ『太陽にほえろ!』（日本テレビ）にラガー刑事役でレギュラー出演していました。その人気も手伝い、『ザ・ベストテン』では、ドラマの舞台である七曲署捜査一係のセットから、他の出演者が見守る中で「約束」を歌うという、ファンにとっては忘れられないパフォーマンスを披露しました。ドラマと音楽、二つの人気が相乗効果を生み、楽曲の魅力をさらに引き立てました。

忘れられない歌詞間違い

渡辺徹自身が語るエピソードも興味深いです。彼は、芝居の長台詞は覚えられるのに、3〜4分程度の曲の歌詞を覚えるのが苦手だったそうです。『ザ・ベストテン』初出演時、歌い出しの「ちいさな夢を唇に」という部分を「ちいさな胸に唇を」と間違えてしまい、頭が真っ白になったとか。しかし、咄嗟にアドリブで“作詞”し、歌い切ったというから驚きです。そのあまりにもオリジナルとはかけ離れた歌詞に、テレビ画面下に出ていた歌詞のテロップが途中で消えてしまったという逸話も残っています。

妻・榊原郁恵とのエピソード

渡辺徹の妻である榊原郁恵が司会を務めていたフジテレビ系『ものまね王座決定戦』では、松村邦洋が渡辺徹のものまねで「約束」を歌唱しました。松村によるその内容は、原曲とはかけ離れた替え歌を盛り込んだものでしたが、その独特のパフォーマンスは観客を大いに沸かせました。審査員の水前寺清子から「旦那様のものまねをされた感想は?」と聞かれた榊原郁恵は、「正直複雑ですよね。でも正直（当時の渡辺徹と松村邦洋の）体つきは似てるんですよ」とコメントし、会場を笑わせました。

楽曲情報

「約束」は、作詞を大津あきら、作曲を鈴木キサブローが担当し、編曲は大村雅朗が手がけました。コーラスアレンジは川村栄二が担当しました。カップリング曲として「青空よメモリー」も収録されています。

収録曲
1. 約束（3分41秒）
2. 青空よメモリー（3分36秒）

タイアップ

「約束」は、江崎グリコ「グリコアーモンドチョコレート」のCMソングとしても使用されました。CMには、デビュー当時の小泉今日子が共演しており、当時の若者を中心に大きな話題となりました。

1982年の音楽シーン

「約束」がリリースされた1982年は、日本の音楽シーンが大きな変化を遂げていた時代です。アイドルブームが盛り上がりを見せる一方で、ニューミュージックと呼ばれる新しいジャンルも台頭し、多様な音楽が生まれた年でした。渡辺徹の「約束」は、そんな時代を代表する一曲として、多くの人々の心に刻まれています。

「約束」は、単なるヒット曲というだけでなく、渡辺徹という一人のアーティストの魅力、そして当時の音楽シーンの活気を今に伝える、貴重な作品と言えるでしょう。

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