素晴らしき日々 〜不連続存在〜

『素晴らしき日々 〜不連続存在〜』：複雑な物語と魅力的なキャラクターたちが織りなす世界

2010年3月26日、ケロQより発売されたPCゲーム『素晴らしき日々 〜不連続存在〜』（以下、『すばらしき日々』）は、同ブランドにとって6年ぶりの新作として大きな話題を呼びました。略称は「すばひび」。萌えゲーアワード2010では大賞部門銅賞、シナリオ賞金賞を受賞するなど、高い評価を得ています。

本作は、複数の主人公と複雑に絡み合う複数のストーリーによって構成されています。それぞれの章は独立した物語でありながら、全体として一つの大きな物語を形成しています。

各章の概要

第1章“Down the Rabbit-Hole”
主人公は水上由岐。空から降ってきたぬいぐるみを拾ったことから、高島ざくろという少女と出会い、「空に帰る日」を探す旅が始まります。幼なじみの若槻姉妹と共に、謎解きと冒険の物語が展開します。

第2章“It’s my own Invention”
主人公は間宮卓司。いじめられっ子の彼は、ざくろの自殺をきっかけに、周囲とのずれを感じ始めます。「救世主」として、人々を「『終の空』に帰す」という行動に出る、衝撃的な展開が待っています。

第3章“Looking-glass Insects”
主人公は高島ざくろ。屋上で出会った少年への恋心を抱きながらも、友人と共にいじめや薬物、性的暴行といった困難に直面します。前世の力を信じるグループに参加し、ある目的のために自殺するという、重いテーマが描かれています。ただし、ルートによっては、レイプを回避し、いじめに立ち向かう展開も存在します。

第4章“Jabberwocky”
主人公は悠木皆守。世界が「終の空」へと向かう中、彼は自らの存在の揺らぎを感じ、「救世主」である間宮卓司と対峙します。妹・羽咲のために「英雄」となることを誓いますが、卓司と肉体を共有しているため、二人の運命は複雑に絡み合っています。

第5章“Which Dreamed It”
主人公は間宮羽咲。第4章の物語を羽咲の視点から描いた章です。皆守や由岐の正体、7年前に起きた出来事が明らかになります。

第6章“JabberwockyII”
主人公は悠木皆守。皆守と家族の過去、母親の悲しい過去、そして「救世主」としての役割などが描かれています。最終的には皆守が卓司を倒し、羽咲と共に未来を歩むという結末を迎えます。ルートによっては、由岐が幽霊として登場する展開もあります。

終ノ空II
主人公は水上由岐。音無彩名という少女との出会いを経て、物語全体の矛盾や、由岐自身の存在について深く考えさせられる、謎めいた章です。

新章“Knokin'on heven's door”
フルボイスHD版で追加されたルート。悠木皆守と水上由岐が主人公となり、新たな物語が展開します。

主要キャラクター

個性豊かな主要キャラクターたちが物語を彩ります。水上由岐、若槻姉妹、高島ざくろ、間宮卓司、悠木皆守、間宮羽咲、音無彩名、そして彼らを取り巻く様々な人物たちが、複雑な人間関係を築き、それぞれのドラマを展開していきます。

音楽

オープニングテーマ「空気力学少女と少年の詩」、エンディングテーマ「ナグルファルの船上にて」など、印象的な楽曲が物語に深みを与えています。サウンドトラックCDも発売されており、ゲームの世界観をさらに楽しむことができます。

『終ノ空』との関連性

『すばらしき日々』は、ケロQの処女作である『終ノ空』と密接な関係を持つ作品として、多くの憶測を呼びました。開発者であるすかぢ氏自身も、本作が『終ノ空』との決別をテーマにしていることを明かしています。

まとめ

『素晴らしき日々 〜不連続存在〜』は、複雑で重厚なシナリオ、魅力的なキャラクター、そして美しい音楽が融合した、まさに傑作と言える作品です。複数のルートやエンディングが存在するため、何度もプレイして、異なる視点から物語を楽しむことができます。2018年のフルボイスHD版、2020年の10周年記念版の発売により、より多くのプレイヤーにその魅力が届けられています。

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