細田智也

細田智也（ほそだ ともや）氏は、1991年11月14日に生まれ、埼玉県飯能市で産声を上げ、入間市で育ちました。幼少期から性自認に違和感を抱き、第二次性徴で身体の変化に戸惑う中で、自身の性に疑問を持つようになりました。

中学時代は駅伝に打ち込みましたが、高校で陸上部に入部したものの、女子用ユニフォームへの抵抗から部活動から遠ざかりました。将来に希望を見出せず、暗闇の中にいるような感覚を抱いていたと言います。しかし、帝京大学在学中に母親にカミングアウトしたことで、性同一性障害と診断を受けます。母親の支援もあり、2015年には乳腺切除と卵巣摘出手術を受け、同年には改名と戸籍の性別変更を完了しました。大学卒業後は臨床検査技師として公立病院で勤務しました。

臨床検査技師として働く中で、以前から関心のあった性感染症の研究のため、病院を退職し入間市に戻ります。セクシュアリティに悩む小中学生を勇気づけたいという思いから、市役所に相談したところ、入間市議会議員の関谷真奈美氏から連絡を受けます。幾度か会談を重ねる中で、市議選への出馬を勧められました。選挙の結果に関わらず、トランスジェンダーであることを公表して選挙活動をすることで、「こんな人が入間市にいるんだ」と知ってもらうきっかけになると考え、立候補を決意します。

2017年3月、細田氏は民進党公認候補として入間市議会議員選挙に出馬し、見事当選を果たしました。これは、オープンリーなトランスジェンダー男性として世界初の快挙でした。細田氏の当選は、ニューヨーク・タイムズや英国のインデペンデント紙など海外の主要メディアにも取り上げられ、国際的な注目を集めました。初登壇となった市議会では傍聴席がほぼ満席になるなど、その存在は大きな関心を集めました。

同年7月には、他のLGBTの当事者議員らとともに「LGBT自治体議員連盟」を設立し、性的少数者の権利擁護のための条例や施策を地方議会を通じて全国に広げる活動を開始しました。この連盟には、全国の多くの議員が賛同し、参加しています。

議員活動のかたわら、細田氏は企業や学校での講演活動も積極的に行い、自身の経験を通して多様性の重要性を訴えています。また、2020年には、英国の非営利団体「One Young World」によって、年間最優秀政治家15人のうちの1人に選出されるなど、国内外で高い評価を受けています。

2021年には無所属で市議選に再選を果たし、2022年には脳卒中で入院治療を受けましたが、後遺症なく回復しています。2023年には埼玉県議会議員選挙に無所属で立候補しましたが、惜しくも落選しました。

細田智也氏は、自身の経験を生かし、LGBTQ+の権利擁護と社会の理解促進に向けて、精力的に活動を続けています。その活動は、多くの人々に勇気と希望を与えています。

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