経済調査会

一般財団法人経済調査会は、建設経済分野における価格調査を専門とする機関です。その活動は、資材価格、工事費、関連指標などの実態調査に重点を置いており、これらの調査結果を定期刊行物や講習会を通じて広く提供しています。特に、建設業界における価格の透明性を確保し、公正な取引を促進することを使命としています。

設立の背景と変遷

経済調査会の起源は、1946年（昭和21年）に本多英三郎によって設立された東京経済調査会に遡ります。当時、混乱していた社会情勢の中で、物価の実態をまとめた『経済調査報告書・物価版』を創刊し、価格情報を提供する先駆けとなりました。その後、連合国軍最高司令官総司令部（GHQ）の承認を得て、1946年（昭和26年）に経済安定本部（現内閣府）を主務官庁とする財団法人に改組されました。翌年には、その価格資料が会計検査院の検査参考資料として採用され、社会的な評価を確立しました。

1954年（昭和29年）には、現在も刊行されている月刊誌『積算資料』を創刊し、財団の事業基盤を築きました。1985年（昭和60年）には、経済企画庁と建設省（現国土交通省）の共管による公益法人として認可され、公益事業を通じて社会に貢献してきました。2012年（平成24年）には、公益法人改革に対応し、一般財団法人として新たなスタートを切りました。この移行に伴い、事業内容を刷新し、現代社会のニーズに合わせた活動を展開しています。

事業内容

経済調査会は、建設市場における積算および資材調達のための価格実態調査を中核事業としています。これらの調査に基づいた情報開発、出版事業、情報提供を通じて、建設業界の健全な発展に貢献しています。特に、価格情報においては、公正性、正確性、透明性を重視し、業界全体の信頼性を高める役割を担っています。1999年には、価格調査機関として初めてISO9001の認証を取得しており、品質管理においても高い評価を得ています。

主な刊行物

定期刊行物としては、『積算資料』『土木施工単価』『建築施工単価』などがあります。これらの刊行物は、建設業界における価格設定の基礎資料として広く利用されています。また、住宅情報事業部では、住宅やマンション向けの『ポケット版シリーズ』を発行し、一般消費者にも分かりやすい情報提供を心がけています。その他、積算に使用する歩掛を掲載した書籍など、専門家向けの出版物も多数刊行しています。

組織概要

本部は東京都港区新橋に所在しています。理事長は森北佳昭氏が務めています。

関連団体

建設物価調査会など、建設業界の価格調査に関わる団体との連携も積極的に行っています。

参考文献

中村隆英（1985）「経済調査会」国史大辞典編集委員会編『国史大辞典 第 5 巻』吉川弘文館
芦田義則 (著), 福田昌史 (監修)（2015）『基礎からわかる公共土木工事積算』 建設物価調査会
平塚正（1984）建築積算の歴史　『公共建築』 (Public Buildings)
(社)日本建築積算協会（1991）『積算とロマン』

外部リンク

* 公式ウェブサイト

経済調査会は、その設立から現在に至るまで、建設業界の発展と社会全体の利益に貢献するために、公正な価格情報を提供し続けています。その活動は、建設業界のみならず、経済全体にも大きな影響を与えています。

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