結婚式 (松本清張)

結婚式（松本清張）

概要

「結婚式」は、松本清張による短編小説で、1960年5月に『週刊朝日別冊・陽春特別号』に掲載され、1963年には短編集『眼の気流』に収録されました。この作品は、深い人間関係と心理描写をテーマにしており、特に友情と裏切りが中心に据えられています。また、この作品は1963年および1989年にテレビドラマとしても製作され、多くの視聴者に愛されてきました。

あらすじ

物語の語り手である吉村は、新田徹吉と共に新聞社での同期でした。新田は新聞社を退職した後、自ら広告取扱店を始めました。新田は真面目で頭の良い男であり、その妻である元子も支えがいのある女性です。彼らの努力の結果、広告店は10年の間に中堅の地位を築くに至りました。

ある日、吉村が新田の店舗に訪れると、受付にいたのは新たな女性、佐伯光子でした。彼女は20歳過ぎで美人であり、元子は彼女をほめたたえました。この光子が新田の生活にどのように影響を及ぼすのか、吉村は内心不安を覚えます。

その後、吉村は仕事上の宴会からの帰り道に、街中で新田と佐伯光子の姿を目撃します。彼らが親密な関係であることを疑う吉村。しかし、元子は光子を可愛がっており、表向きは彼女を受け入れているため、吉村は踏み込むことができませんでした。結局、浮気の事実は元子にも知られることになり、3人の間で心理的な葛藤が展開されます。

テレビドラマ化

1963年版

この作品は、1963年にNHKで「松本清張シリーズ・黒の組曲」として2回にわたり放送されました。キャストには、有島一郎（新田徹吉）、奈良岡朋子（新田元子）、近藤圭子（佐伯光子）、春日俊二（吉村）が名を連ねました。視聴者の関心を集め、その後の松本清張作品への関心を深めるきっかけとなりました。

1989年版

1989年には、読売テレビが制作した「松本清張サスペンス・結婚式」として放送されました。この作品は「木曜ゴールデンドラマ」枠で放映され、視聴率21.2%を記録しました。また、このドラマは第27回ギャラクシー賞選奨を受賞し、そのクオリティの高さを証明しました。キャストには浅丘ルリ子（新田元子）、近藤正臣（新田徹吉）、南條玲子（佐伯光子）などが出演しました。

まとめ

松本清張の「結婚式」は、表面上の幸福と内から進行する裏切りが交錯する人間ドラマを描いています。友情や裏切りといった普遍的なテーマを巧みに扱い、映像化されることでその魅力はさらに広がりました。この作品は、現代の読者や視聴者にも深い印象を与えるものとなっています。

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