結婚相手は抽選で

小説『結婚相手は抽選で』の概要

垣谷美雨著の『結婚相手は抽選で』は、近未来の日本を舞台に、少子高齢化が進む中で政府が打ち出した一風変わった結婚制度を描く物語です。この法律は、結婚相手を無作為に抽選で選ぶというもので、求婚者は潜在的な相手に対し、かつてない選択が迫られることになります。

あらすじ

日本政府は、少子高齢化に対抗する策として「抽選見合い結婚法」という新たな法律を施行しました。この法律により、25歳から35歳の独身者は、結婚相手を抽選で選ばざるを得なくなり、三度の拒否を行うとテロ対策活動を行う義務が生じます。この法律は極端とも言える手法であり、国民からは様々な反発や懸念が寄せられました。

物語は、システムエンジニアの宮坂龍彦や、華やかな容姿を持ちながらも複雑な背景を持つ銀林嵐望、OLの冬村奈々、看護師の鈴掛好美といった主要キャラクターたちが法に翻弄される姿を中心に展開されます。 彼らはそれぞれの人生や恋愛について考えさせられ、渦巻く社会問題にも直面します。

登場人物

宮坂龍彦

26歳のシステムエンジニアで、自身の内面的な葛藤に悩む男性。中学時代からの人間不信により、恋愛経験ゼロの彼は、抽選見合い結婚法を批判し、自らのブログで被害者たちの声を発信します。

冬村奈々

28歳のラジオ局社員。母性の無さから振られた過去があり、抽選見合いの中で自身の変わりたい願望と葛藤します。自分を見つめ直し、結婚への不安を感じつつ、パートナーとしての理想を模索します。

銀林嵐望

34歳の広告代理店社員。裕福な家庭に育ちながらも、愛情に恵まれず、自身の母性を求める彼の葛藤が際立ちます。彼は抽選見合いで好美に一目惚れし、急進展する恋愛の行方に胸を躍らせます。

鈴掛好美

31歳の看護師で、父との関係にトラウマを抱えています。月日が進むうちに愛することの喜びと恐れに葛藤します。嵐望との恋の行く末が物語を盛り上げます。

テーマと問題提起

本作は結婚や恋愛、個人の自由、さらには人口政策に関する様々なテーマが散りばめられています。政府による一律の制度が個々の人生に与える影響や、個人の選択肢が狭まることへの問題意識など、現実の日本社会における課題にも通じる深い内容です。

テレビドラマ化

本書は2018年にテレビドラマ化されており、主演の野村周平が龍彦役を務めました。ドラマでは、原作とは異なり、法律の問題に立ち向かうレジスタンス活動が描かれるなど、視聴者に新たな視点を提供しています。

ドラマ化を通じて、原作の深いテーマが映像でどのように表現されるか、またキャラクターたちの変化が観客にどのように映るのか、その探求も楽しみの一つです。

結論

『結婚相手は抽選で』は、社会的なテーマと個々の人間ドラマが融合した秀作であり、現代社会における結婚や家族のあり方を考えさせてくれます。多様な登場人物たちが描く愛と葛藤を通じて、読者や視聴者に深い感動を与える作品です。

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