結婚行進曲

結婚行進曲：祝福に満ちた旋律

結婚行進曲は、結婚式において新郎新婦の門出を祝うために演奏される、感動的な行進曲です。多くの場合、新郎新婦の入場や退場の際に使用され、式典に華やかさと荘厳さをもたらします。また、結婚式そのものを祝福するために作曲された祝典行進曲も存在します。

結婚行進曲として有名な二つの楽曲

結婚行進曲として特に有名なのは、以下の2曲です。

1. メンデルスゾーン：劇付随音楽『夏の夜の夢』より結婚行進曲

フェリックス・メンデルスゾーンが作曲したこの楽曲は、シェイクスピアの喜劇『夏の夜の夢』のために書かれた劇付随音楽の一部です。軽快で華やかな旋律は、新郎新婦の未来への希望に満ちた門出を象徴し、世界中で広く愛されています。結婚式の定番として、誰もが一度は耳にしたことがあるでしょう。

[楽譜の冒頭部分]

2. ワーグナー：オペラ『ローエングリン』より婚礼の合唱

リヒャルト・ワーグナーのオペラ『ローエングリン』第3幕への導入部分として演奏されるこの楽曲は、「婚礼の合唱」としても知られています。荘厳で感動的な旋律は、結婚の神聖さや永遠の愛を表現し、式に深みと感動を与えます。また、この曲に日本語の歌詞（謡曲『高砂』）を乗せて歌われることもあります。

[楽譜の冒頭部分]

結婚行進曲の普及

メンデルスゾーンとワーグナーの結婚行進曲が広く使われるようになった背景には、1858年のプロイセン王子フリードリヒ（後のドイツ皇帝フリードリヒ3世）とイギリス王女ヴィクトリアの結婚式で、これらの楽曲が初めて「結婚行進曲」として演奏されたことが大きく影響しています。このロイヤルウェディングでの使用をきっかけに、2曲は世界中の結婚式で演奏される定番となりました。

結婚行進曲の選曲と宗教的背景

結婚行進曲の選曲には、宗教的な背景が影響する場合もあります。メンデルスゾーンとワーグナーは共にドイツのプロテスタントであり、カトリック教会では、オペラや演劇など世俗的な行事のために作られた行進曲を結婚式で使用することを控えるように指導することがあります。バチカンの「典礼音楽の指針」にも、そのような趣旨の記述が見られます。

しかし、日本では、信者同士の結婚式でない限り、教会が厳密に楽曲の選定に制限を加えることは少ないようです。新郎新婦の好みや式の雰囲気に合わせて、自由に選曲されることが一般的です。

結婚行進曲は、時代や文化を超えて、愛と祝福の象徴として結婚式を彩り続けています。

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