給名

給名（きゅうみょう）についての詳細

給名とは、荘園公領制の中で、荘園領主が荘官にその職務の対価として与えた土地、つまり名田を指します。この制度は、いわゆる雑免という形でも知られています。給名は、荘官の職務に応じて「地頭名」や「下司名」、「公文名」といった異なる名称が与えられることがあります。これらはすべて、荘官に帰属する名田の総称にあたります。

通常の給田とは異なり、給名では田地に対する全ての負担が免除されるわけではありません。年度ごとの年貢は荘園領主に納める必要がありますが、公事は免除されるケースが一般的であり、これが「雑免」と呼ばれる所以でもあります。

給名の中には、荘官が自ら開発したり、または購入して取得した田畠が含まれます。これにより、荘官は地域における領主としての役割を果たす経済的基盤を築くことができました。給名は、実際には荘官が召使いや下人といった者たちを雇って耕作させる形で運営されてもいたのです。時には、周辺の小規模農民を利用して小作させることも行われました。

荘園制度の重要な要素の一つである給名は、荘官の経済的な発展のみならず、地域社会の動態にも大きな影響を及ぼしました。この制度により、荘官は自己の土地を管理し利用することで、より安定した生活基盤を手に入れることができました。また、こうした仕組みは、当時の日本社会における土地所有や生産、さらには社会階層の形成にも寄与したと考えられています。

給名制度は、特に鎌倉時代や室町時代にはその重要性が増し、地域の地主層が力を持つようになった結果、彼らの経済的手段の一つとして作用することになりました。この制度を通じて、荘園領主と荘官との関係がより密接になり、同時に地域経済の発展にも寄与したことは間違いありません。

荘官の立場を強化し、同時に地域の生産性を向上させる役割を担った給名は、その後の日本における土地制度の発展にも影響を与えました。その結果、給名がどのように変遷していったのかを考えることは、後の日本の土地制度や農業政策を理解する上でも大変重要な視点となるでしょう。

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