絶愛-1989-

『絶愛-1989-』とは

『絶愛-1989-』（ぜつあい-1989-）は、尾崎南により創作された日本の漫画であり、少女漫画雑誌『マーガレット』（集英社）で連載されていました。この作品は、ボーイズラブがまだ専門誌に限られていた時代に、男性同士の情熱的なラブストーリーを描いたことで大きな注目を浴びました。本作は、続編の『BRONZE zetsuai since 1989』（通称「BRONZE」）を含むシリーズとしても知られています。

作品の背景

この作品が連載開始された当時、日本の漫画界にはボーイズラブのジャンルが確立されておらず、男性同士の関係を題材とした作品は限られていました。その中で、本作は『マーガレット』という通常の少女漫画雑誌で男性同士の激しい恋愛を描き、敢えてその枠を超えたストーリーによって多くの読者の心をつかみました。

続編である『BRONZE zetsuai since 1989』は、2006年から一時休載していましたが、2011年には新たに『コーラス』という雑誌で再開されました。この続編もまた、読者から高い支持を受け、いくつかの番外編も連載されましたが、2011年9月号にてその連載は終了しました。

あらすじ

物語の中心となるのは、16歳の若き人気歌手・南條晃司。彼は冷淡で無関心な性格を持っていますが、心の奥底に抱く幼少期の「イズミ」という少女に対する忘れられない切ない初恋の思いを秘めています。運命のいたずらから、ある雨の夜、晃司は酔い潰れてゴミ捨て場に倒れ込んでしまいますが、そんな彼を助けてくれたのは同じ年の少年・泉拓人でした。

泉は高校に通いながら一人暮らしをしていた普通の少年で、晃司は彼のことを知るにつれ、彼が幼少期の初恋の相手イズミであることに気が付きます。ただし、そのイズミは実際には少女ではなく男だったのです。それでも、性別を超越した感情が晃司を掻き立て、泉に強く惹かれていくのです。

やがて、晃司の芸能人という立場が泉に影響を及ぼし、マスコミに泉の過去が暴露されてしまいます。泉はその事件の生き残りであり、家族を守るために過去を隠して生きてきました。晃司は頑なに泉を守ろうとしますが、泉の心の傷を知った晃司は、ある夜激情に駆られ泉を襲おうとします。この出来事は、彼らの関係に一層の緊張感をもたらし、愛や恐れ、過去のトラウマが絡み合う複雑な物語が展開されます。

主な登場人物

• - 南條晃司（なんじょう こうじ）: 声を担当するのは速水奨。幼少期からの初恋の記憶を抱える大人気の歌手。性格は冷淡で無関心だが、内には情熱を秘めている。
• - 泉拓人（いずみ たくと）: 声を担当するのは子安武人。普通の少年で、サッカー部に所属。複雑な家庭環境を持ち、晃司との関係に悩む。
• - 渋谷克巳（しぶや かつみ）: 晃司の信頼できる友人で、医者を目指している。
• - 堀内芹香（ほりうち せりか）: 泉の妹。
• - 堀内優吾（ほりうち ゆうご）: 泉の弟。
• - 南條家族のメンバー: 晃司の異母兄弟たちも物語に様々な影響を与えます。

作品の影響

『絶愛-1989-』は、ただの愛の物語だけでなく、複雑な人間関係や過去の傷、そして愛がどういうものなのかを問いかける深いテーマを含んでいます。この作品はイラストやアニメ化もされていますし、日本国内外で広く親しまれています。また、さまざまな形で展開されており、系列作品も多くのファンによって愛されています。

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