絹川正吉

絹川正吉について

絹川正吉（きぬかわ まさきち）は、1929年3月7日に神奈川県横浜市で生まれました。日本の数学者であり、国際基督教大学（ICU）の名誉教授、そして元学長として知られています。専門分野は解析学、特にフーリエ解析です。

学歴

絹川氏は、1953年に東京都立大学（現在の首都大学東京）理学部数学科を卒業しました。その後、1955年には同大学の大学院理学研究科修士課程を修了。1960年には、アメリカのノースウェスタン大学大学院博士課程を修了し、Ph.D.を取得しました。

職歴

1955年、絹川氏は国際基督教大学の助手として教員としてのキャリアをスタートさせました。その後、1958年に講師、1962年に助教授、そして1972年に教養学部理学科の教授へと昇進しました。1986年から1996年までは教養学部長を務め、1996年から2004年までは学長として大学運営に携わりました。2004年に国際基督教大学名誉教授となり、2008年には国立大学法人新潟大学の理事に就任しました。

受賞・役職

絹川氏は、2021年に全国日本学士会のアカデミア賞を受賞しました。また、教育界においても数々の要職を歴任しています。1996年には日本私立大学連盟の理事、1997年には日本高等教育学会の理事、大学基準協会の監事に就任しました。1998年には大学基準協会の理事、大学評価・学位授与機構の専門委員を務めました。2000年には東京学芸大学大学運営諮問会議の会長、大学教育学会の会長を務め、2001年には大学セミナーハウスの館長、IDE大学（民主）教育協会の理事に就任しました。2002年には日本私立大学連盟の常務理事、電気通信大学大学運営諮問会議の委員、2003年には文部科学省の「特色ある大学教育支援プログラム」実施委員会の委員長を務めました。2005年には日本高等教育学会の理事、2008年には読売新聞社の「大学の実力」諮問委員、2013年には一般社団法人大学教育学会の監事、2015年には一般社団法人大学教育学会の名誉会員となりました。

著書

絹川氏は、大学教育に関する多くの著作を発表しています。単著としては、『一般教育における総合の意味』(1982年)、『大学教育の本質』(1995年)、『大学教育の思想』(2006年)、『大学教育のエクセレンスとガバナンス』(2006年)、『大学の死、そして復活』(2015年)、『リベラル・アーツの源泉を訪ねて』(2018年)、『戦後日本の大学教育の回顧と展望～自分史と重ねて』(2022年)、『教養と大学スタッフ』(2022年)などがあります。共著としては、『ヘブライズムとヘレニズム』(1985年)、『大学は変わる』(1989年)などがあり、編著としては、『ICU「リベラル・アーツ」のすべて』(2002年)や『学士課程教育の改革』(2004年)などがあります。

また、絹川氏は訳書も手掛けており、フレデリック・リース、B.S.ナジー著『関数解析論』の翻訳(1973年、1974年)があります。監修として『ICU その入試のすべて』(2003年)もあります。

絹川正吉は、数学者としての専門知識に加え、大学教育の分野でも多大な貢献をしてきました。国際基督教大学の発展に尽力しただけでなく、日本の高等教育全体の質向上にも寄与した人物と言えるでしょう。

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