継続的インテグレーション

継続的インテグレーション（CI）について

継続的インテグレーション（Continuous Integration、CI）とは、ソフトウェア開発プロセスにおいて、全ての開発者が自身の作業コピーを定期的に共有のメインラインに統合する手法です。通常、これらの統合は1日に複数回行われることが一般的です。CIという手法は1991年にグラディ・ブーチによって初めて提案され、後にエクストリームプログラミング（XP）においては、開発者に対して毎日数十回の統合を推奨する形で受け入れられました。

理論的背景

ソフトウェア開発者が新しい機能を実装する際、まず現在のコードベースのコピーを取り、その上で作業を進めます。このようにしていると、他の開発者が変更を加えた場合、作業しているコードが徐々に最新の状態と乖離してしまいます。その結果、コードベースに新たなライブラリやリソースが追加されることで、依存関係や競合が生じる可能性が高まります。

もしメインラインにコードを長期間統合せずに開発を続けると、最終的に統合時にさまざまな競合や失敗が発生するリスクが増大します。開発者がコードをリポジトリにコミットする際、最新のリポジトリの変更内容を反映するために、自分の変更を適応させる作業が必要になります。そのため、あまりにもリポジトリの内容と乖離してしまった場合、統合にかかる時間が大幅に増加するリスクが存在し、「マージ地獄」と呼ばれる状況に陥ることもあります。

ワークフロー

継続的インテグレーションの実践は、以下のようなプロセスにより成り立っています。

ローカルでのテスト実行

開発者は、メインラインにコードをコミットする前に、ローカル環境で全てのユニットテストを実行し、合格することを確認します。これにより、他の開発者の作業を壊すリスクを減少させるのです。また、一時的に未完成の機能を無効にするために、フィーチャートグルなどの手法を利用することもできます。

コードのコンパイル

ビルドサーバーは、コードがコミットされた後、または定期的にコードをコンパイルし、その結果を開発者に通知します。このビルドサーバーは、多くの組織で導入されており、エクストリームプログラミングの方法論を完全に取り入れているわけではない場合でもCIの手法を採用しています。

テストの実行

CIを採用する組織では、品質管理のプロセスを継続的に実施することが一般的です。この中には、ユニットテストや統合テスト、静的分析、パフォーマンス測定、ドキュメント生成、手動での品質保証（QA）プロセスなどが含まれることが多く、定期的なテスト実行によりソフトウェアの品質を保持します。

アーティファクトのデプロイ

CIは、CI/CDパイプラインの中で継続的デリバリー（CD）と結びついていることが一般的であり、常にメインライン上のソフトウェアがデプロイ可能な状態に保たれることが求められます。CDはデプロイの自動化を担当し、効率的なリリースサイクルを実現します。

コストとメリット

継続的インテグレーションには、多くの利点があります。これにより、バグを早期に見つけ出し、変更が少ない範囲での追跡が容易となります。また、プロジェクト全体の時間やコストを削減し、リリース直前の混乱を避けることが可能になります。さらに、コードが頻繁にチェックインされることで、開発者はモジュール化されたコードを創出しやすくなります。

自動テストの利点

頻繁に行われる自動テストは、迅速なフィードバックを提供し、テスト結果に基づいてプロジェクトを改善する手助けとなります。その結果、開発者は高品質なコードに集中し、チーム全体の生産性も向上します。

使用されるソフトウェア

継続的インテグレーションに使用される主要なツールには、Jenkins、GitLab、Travis CI、CircleCI、Atlassian Bamboo等があります。これらのツールはCIプロセスの自動化を支援し、開発者がより迅速かつ効率的に作業できるようにします。

このように、継続的インテグレーションは現代のソフトウェア開発において重要な役割を果たしており、その効果的な運用はプロジェクト全体の品質向上に寄与しています。

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