緊急雇用創出事業

緊急雇用創出事業とは

緊急雇用創出事業は、失業者の救済を目的として実施されている事業です。この事業は、長期不況による解雇者の増加に対応するため、国や地方自治体が中心となって雇用機会を提供し、失業者の生活安定と再就職を支援することを目的としています。

事業の経緯

この事業は、もともと長期不況で解雇された人々を対象に、都道府県庁や市役所、民間企業などで短期間雇用を提供していました。当初は、一時的な雇用を確保し、その後の長期的な就職につなげることを目的としていました。しかし、2008年の世界同時不況により大量の解雇者が発生したため、麻生内閣のもとで厚生労働省が予算をつけ、事業が本格的に実施されることになりました。この際、「緊急雇用創出推進事業」という名称も用いられるようになりました。

その後、政権交代を経て、長期雇用につながることを目指した「重点分野雇用創造事業」も創設されました。これは、成長が期待される分野での就職を支援し、より安定した雇用機会を提供することを目的としています。

仕事の内容

緊急雇用創出事業の仕事内容は、主に以下の2つに分かれます。

1. 事務補助: 都道府県庁、市役所、町村役場などでの事務補助が中心です。国が実施主体となる場合もあります。
2. 民間企業への委託: 民間企業に委託された業務を行います。

また、特殊資格取得者や同業就職経験者、卒業後3年以内の就職未経験者など、特定の条件を満たす人を対象とした求人もあります。

重点分野雇用創造事業では、主に民間企業で働くことになります。特殊資格を取得しながら就職を目指す職種も存在します。

雇用期間

両事業ともに雇用期間には期限がありますが、運用方法が異なります。

緊急雇用創出事業

当初は自治体によって異なっていましたが、「緊急雇用創出推進事業」開始後は一律で半年未満となりました。当初は、一度就業すると再度応募することはできませんでしたが、その後、原則半年以内、合計1年以内であれば複数回の就業が可能になりました。

重点分野雇用創造事業

雇用期間は原則1年以内です。ただし、対象となる特殊資格を取得できた場合は、そのまま企業や施設の社員・職員として雇用される場合があります。一方で、資格を取得できなかった場合は解雇となることもあります。

応募資格

緊急雇用創出事業

仕事内容によって異なりますが、以前は「失業から3年未満」という条件が多かったため、長期失業者から批判がありました。その後、「現在失業中」であれば応募できるようになりました。ただし、特殊資格取得者や同業就職経験者、卒業後3年以内の就職未経験者など、特定の条件が付く場合もあります。

重点分野雇用創造事業

現在失業中の人が対象です。特に、対象となる特殊資格を取得し、そのまま雇用される意思がある人が対象となることが多いです。

問題点

両事業ともに、原則として2011年度までの期間限定事業であるため、事業終了後に雇用改善が見られない場合、再び大量の失業者が発生する可能性があります。

緊急雇用創出事業

雇用期間が短いため、期間中に長期雇用につながる就職活動を行う必要があります。
補助的な業務が多いため、企業によっては就業経験として認めてもらえない可能性があります。

重点分野雇用創造事業

資格取得を前提とした雇用の場合、期間内に資格を取得できないと解雇され、そのことが今後の就職活動に影響を与える可能性があります。

関連事業

ふるさと雇用再生特別基金事業

緊急雇用創出事業は、失業者の救済と再就職を支援するための重要な取り組みですが、同時にいくつかの課題も抱えていることが分かります。これらの課題を克服し、より効果的な雇用対策を講じることが求められます。

もう一度検索