総合診療科

総合診療科（そうごうしんりょうか）について

総合診療科は、内科や小児科など多種多様な医療領域に対応できる高度な診断能力を持つ診療科です。この診療科の医師は、さまざまな疾病に対して幅広い知識と経験を活かして、患者の健康を守ります。特に、診断が不明瞭な症例において、その独自のアプローチが重視されます。

歴史

アメリカやイギリスでは、一般開業医（GP）が初期診療を担当していますが、日本では長らくそのような専門の診療科が存在しませんでした。しかし、1978年に佐賀医科大学で初めての総合診療部が設立され、その後多くの大学病院や市中病院において総合診療科が創設されてきました。これにより、内科のみならず精神科や皮膚科も対象とした初期診療が行われるようになりました。

近年、日本の医療現場では、患者一人あたりの病院受診回数や検査回数の増加が問題視されています。そこで、総合診療科の設立はこれらの過剰診療を抑制し、効率的な医療につなげる期待があります。特に、95%以上の検査なしで疾病の診断が可能であるため、診療の質を向上させる役割が期待されています。

特徴

総合診療科の医師は、外来や入院において診断がついていない訴えを持つ患者に対して、問診や身体検査を基に迅速に診断を行います。医師は、豊富な医療知識と優れた身体検査技術を備え、さまざまな疾患に対応します。

この診療科は、特に複数の疾患を持つ患者や診断が難しい病状に対して、その専門性が大いに発揮されます。たとえば、不明熱や原発不明癌といった原因不明の病気に対して優れた診療能力を発揮します。入院する際にも、専門科からコンサルテーションを受けることが多く、特に感染症などの分野での専門知識が求められることがあります。また、中小病院や診療所においても高い社会的ニーズが存在しています。

総合診療科の設立から30年が経過しますが、その定義や役割については未だに明確には定まっていません。しかし、患者の多様なニーズに応えるためには、ますますその重要性が増しています。

日本の総合診療科の現状

日本には多くの大学病院に総合診療科が設置されています。代表的な施設には、東北大学医学部、慶應義塾大学、九州大学、東京医科大学などがあり、それぞれの病院が独自の診療方針やアプローチを持っています。また、総合診療科を専門とする医師も増加しており、2018年度からは新専門医制度においても新たな資格として認定されています。

まとめ

総合診療科は、多くの疾患に柔軟に対応し、患者一人ひとりの健康を考慮した医療を提供する重要な役割を果たしています。これからの医療現場においては、さらにその専門性と影響力が強まることでしょう。

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