総括安全衛生管理者

総括安全衛生管理者について

概要

総括安全衛生管理者とは、労働安全衛生法に基づき、事業場の安全や衛生に関連する業務を統括的に管理する者のことを指します。1972年に同法が施行された際、従来の安全管理者や衛生管理者は、総括安全衛生管理者の補佐する立場とされました。この役割は、安全衛生管理が企業の生産ラインと一体的に運営されることを期待されており、一定規模以上の事業場において必要とされます。

法的根拠と定義

労働安全衛生法の第10条2項では、総括安全衛生管理者は事業場において統括管理の権限と責任を持つ者が担うとされています。「統括管理する者」とは工場長や作業所長などの名称に関わらず、実質的な権限を有する者を指します。また、特に必要な免許や経験は求められませんが、職務上の指揮権を持つことは重要です。

事業者は総括安全衛生管理者を選任する必要があり、その選任は義務となっています。選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任し、所轄の労働基準監督署長に届出を行う必要があります。

職務内容

総括安全衛生管理者は、以下のような業務を統括する責任を負います。これは労働者の安全や健康に関する重要な役割を担うことを意味します。

1. 労働者の危険や健康障害の防止に関する施策の策定。
2. 労働者のための安全衛生教育の実施。
3. 健康診断および健康維持のための措置の実施。
4. 労働災害の原因調査や再発防止対策の実施。
5. 安全衛生に関する方針の表明や計画の作成・実施・評価・改善。

これらの業務は、労働環境の維持、健康教育、健康相談などを含む幅広い範囲をカバーします。また、労働災害の防止活動の促進には、事業場のトップからの積極的な対応が求められます。

選任の義務と罰則

総括安全衛生管理者がその職務を行えない場合には、代理者を選任する責任があります。また、労働災害の防止が必要とされる場合、所轄の都道府県労働局長は事業者に対して勧告を行うことができます。しかし、具体的な改善命令や増員・解任を命じる権限は与えられていません。事業場内の巡回義務も設けられていないため、管理者の責任には限界があります。

選任に関する違反があった場合、最大で50万円の罰金が科されることになります。

選任すべき事業場

総括安全衛生管理者を選任すべき事業場は、常時使用する労働者の数によって異なります。例えば、林業や建設業、運送業などでは100人以上、製造業などは300人以上、その他の業種では1000人以上の労働者を常時使用する場合に選任が必要です。これは、それぞれの業種が持つ特性に応じて、安全衛生管理体制を整えなければならないためです。

まとめ

総括安全衛生管理者は、労働安全衛生に関する重要な管理者です。事業場の安全と衛生を確保するために不可欠な存在であり、労働者の健康と安全の保障を担う重要な役割を果たすことが期待されています。

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