総武鉄道デキ1形電気機関車

総武鉄道デキ1形電気機関車について

総武鉄道デキ1形電気機関車は、現在の東武野田線の前身である総武鉄道が1929年に製造した直流型の電気機関車です。この機関車は、当時の北総鉄道が大宮から粕壁、そして清水公園から柏までの区間の電化開業に向けて準備したものです。総武鉄道への改称が行われた年でもあり、歴史的にも重要な位置を占めています。

デキ1形は、イギリスのイングリッシュ・エレクトリック社で新造され、全体で3両が製造されました。これらの車両は「デッカー形」と呼ばれる特有の箱形車体を持ち、柏の方向に一基のパンタグラフが設置されています。このデキ1形は、東武鉄道ED10形との姉妹機として知られています。

1944年には東武鉄道と合併し、これによりデキ1形はED12形形式の121から123に改番されました。その後、1955年には再び改番され、ED3000形の3001から3003に変わりました。この改番により、運用上の区分が明確になりましたが、出力がED10形に比べると低く、本線系統には配属されませんでした。そのため、デキ1形は一貫して野田線での貨物輸送業務に従事することとなったのです。

しかし、機関車の老朽化が進むにつれ、運行の厳しさが増していきました。1972年にはED3002及びED3003の2両が廃車となり、さらに1974年には最後のED3001も廃車となりました。このように、総武鉄道デキ1形電気機関車は、歴史の流れとともにその姿を消してしまいました。残念ながら、保存されている機体や譲渡された機体は存在していません。

デキ1形は、その特異なデザインと歴史的な役割から鉄道ファンや歴史愛好者にとって重要な存在です。製造当時は最新の技術が使われており、今に残る鉄道の歴史の一部を成しています。総武鉄道デキ1形電気機関車は、単なる運送手段だけではなく、時代の証人として人々の記憶に刻まれた貴重な存在です。今後もこのような機関車の歴史が語り継がれ、その魅力が発信され続けることが望まれます。

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