総義歯

総義歯について

総義歯（そうぎし）は無歯顎者のために設計された歯科の補綴装置です。この装置は「総入れ歯」としても知られ、歯を失った方が再び食事を楽しむために重要な役割を果たしています。

構造

人工歯部

総義歯の主要な部分である人工歯部は、かつて天然の歯が存在した場所に配置された人工の歯です。これには、樹脂で作られたレジン歯、陶製の陶歯、さらには金属で作られたものもあります。これらの材料は、見た目や耐久性、使用感に応じて選択されます。

床部

床部は人工歯部を除いた総義歯の基盤となる部分です。通常はレジンやスルフォンと呼ばれる素材で作られますが、健康保険は適用外です。保険が適用されない部位は、粘膜面や口蓋側、舌側などの外観に影響を与えない部分です。これらの部分には、コバルトやチタン、金属などが使われ、食物を自然な温度で味わうことができる金属床もあります。最近では、柔軟性を持つナイロン素材の床も登場しており、医薬品医療機器等法においてまだ認可されていないものの、注目されています。

種類

総義歯には、様々な種類があります。最終的に患者さんに装着されるものを本義歯と呼びますが、他にもさまざまな用途・目的に応じた義歯が存在します。例えば、即時義歯は抜歯後すぐに装着できるように、事前に作成されます。また、治療義歯は治療中に総義歯に慣れるためや、下顎位の矯正を目的として使用されます。

歴史

総義歯の起源は、さかのぼること1538年に、紀伊国内にある衣笠山願成寺の尼僧（通称・仏姫、俗名・中岡てい）によって製作された木製の義歯にあるとされています。この義歯も、現代の総義歯と同様に吸着によって口腔内に保持されるものでした。その後、江戸時代には仏師によって義歯の製作が続けられ、当時の価格は一ヶ月の生活費相当であったとも言われています。

まとめ

総義歯は、無歯顎者にとって非常に重要な補綴装置です。様々な素材やタイプが存在し、それぞれが持つ特性により、製作される総義歯は患者のニーズに応じたものとなります。歴史的にも長い間にわたり進化を続けてきた総義歯は、今後も新しい技術や素材によって発展することが期待されています。

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