縄田尚門

縄田 尚門の生涯と業績

縄田尚門（なわた ひさと/しょうもん）は、1897年の2月8日に現在の山口県宇部市で生まれ、1968年の4月29日に逝去しました。彼は大正・昭和時代に活躍した陸上競技の選手であり、指導者としても著名な存在でした。特に中距離走や長距離走において数多くの記録を打ち立て、日本の陸上競技界に大きな影響を与えました。

選手時代の功績

縄田は旧制興風中学校（現在の山口県立小野田高等学校）を卒業後、早稲田大学に進学しました。在学中の1923年、日本全国を対象とする極東公開競技会において男子5000m走の日本記録（16分11秒0）を樹立しました。この業績により、彼は中距離・長距離選手としての地位を確立します。

次の年、彼は男子1500m走において、合計3度にわたる日本記録更新を達成しました。この間、1924年のパリオリンピックについては、大日本体育協会と学生の間の対立が目立ちましたが、選手たちは縄田の選出を期待していました。それだけ彼の実力が認められていた証でもあります。

1925年には、極東選手権競技大会において1500m走で優勝し、日本記録（4分7秒8）を更新しました。この大会では審判の不正が問題視され、多くの選手が総退場する中、縄田だけは審判に従って競技を続けました。彼はその年の日本陸上競技選手権大会でも800m走で記録タイ（2分0秒4）を残し、「中距離界の第一人者」との評価を受けました。

さらに、箱根駅伝には1923年から1928年の間出場し、数つの好成績を収めました。特に区間賞や2位という成績は、彼の実力を証明するものです。

指導者としての活動

1928年、早稲田大学を卒業した後は、新聞社の運動部記者として働きました。その後、1936年のベルリンオリンピックでは、日本選手団のコーチとして活躍しました。また、1940年には日本陸上競技連盟の技術部長に就任し、陸上競技の発展に寄与しました。

第二次世界大戦の末期には故郷の宇部に疎開し、戦後は農業に従事しました。しかし、彼の陸上競技への情熱は冷めることなく、1946年には日本陸上競技連盟山口県支部が組織され、副会長に就任しました。さらに1961年には山口県陸上競技協会長として地域の競技者育成にも努めました。

1964年の東京オリンピックでは、組織委員として貢献し、日本の陸上競技の発展に一生を捧げたといえます。彼が育てた選手の中には浜村秀雄や貞永信義など、名だたるマラソン選手がいます。

記念行事

縄田の業績を称えるため、宇部市では「縄田杯宇部ロードレース大会」が定期的に開催されています。このイベントは彼の功績を後世に伝える重要な機会となっています。

結論

縄田尚門は、陸上競技において数々の偉業を成し遂げた選手であり、指導者としても陸上界に多大な影響を与えました。彼の功績は今なお、多くの後進の選手たちに受け継がれています。

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