纒向編年

纒向編年の概要

纒向編年（まきむくへんねん）は、日本の奈良県桜井市にある纒向遺跡で発掘された弥生土器と土師器を基にした年代区分を指します。この編年は、奈良県立橿原考古学研究所に所属する石野博信氏と豊岡卓之氏の手によって作成されました。土器は1類から5類に分けられ、それぞれの特徴や出土状況に基づいて編纂されています。

纒向遺跡の特徴

奈良盆地の南東部、三輪山のふもとに広がるこの纒向遺跡は、2世紀末に出現し、4世紀中葉に急に姿を消した大規模な集落遺跡です。この遺跡は、単なる居住地にとどまらず、特に政治的な都市としての性格を持っていると石野氏は評価しています。実際に、纒向遺跡は『魏志』倭人伝に記載される邪馬台国の候補地の一つとして注目されています。

出土した土器は、第1次から第7次の調査を通じて、整理用コンテナに1,000箱以上も集められました。この中では、弥生時代末期から古墳時代初期にかけての重要な証拠となる土器が中心です。これらの土器を分類して得られた編年は、他の考古遺跡の年代や性格を考える上でも非常に重要な指標となっています。

外来土器の意義

纒向遺跡が都市的な性格を持つ理由の一つは、各地から運ばれた外来の土器が豊富であることです。特にヤマト地域以外から搬入された土器は、時期によって増加の傾向が見られます。纒向遺跡における外来系土器は、纒向2類の庄内式土器の出現を皮切りに増え、その後の3類から4類にかけて最も多く見られています。

異論と反論

邪馬台国が畿内に存在していたとする説に対しては、古代史研究者たちから反論が存在します。彼らによると、布留0式土器と古式新羅伽耶陶質土器が共伴して出土していることから、新羅の国家形成時期まで年代が延びる可能性があるとのことです。

ただし、朝鮮の三国時代に見られる陶質土器は、瓦質土器に比べて高温で焼成できる技術をもっているため、地域によって異なる焼成方法があり、慶尚南北道や新羅、加耶地域のものが日本列島に伝わったと推測されています。武末純一氏は、これらの陶質土器に古式新羅加耶土器という名称を提唱し、これらが他の土器と区別される理由を説明しています。

これを見ると、反論の一部は誤解によるものといえるでしょう。そのため、纒向編年が持つ重要性は依然として高いと考えられています。

結論

纒向編年は、古代社会の変遷や文化交流を理解するための重要な資料であり、考古学という学問領域において欠かせない要素であることが分かります。この編年を余すことなく活用することで、より深い理解が得られるでしょう。

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