羅皚

羅皚の生涯とチャンパ王国の歴史

羅皚（らかい、生年不詳 - 1400年）は、14世紀末にチャンパ王国の王として知られる重要な政治家です。彼は1390年から1400年、あるいは1401年までの間、この地域を統治し、新たな歴史のページを刻みました。彼についての記録は『明史』や『大越史記全書』に見られますが、これらの資料にはいくつかの矛盾や不明点が残されています。

ロイの治世においては、彼はまず制蓬峩（せいほうがん）という王に仕官しました。興味深いことに、『明史』ではこの制蓬峩を阿答阿者と同一視されていますが、その確証は得られていません。とはいえ、羅皚はその後にチャンパの統治権を手に入れ、国王として新たな時代を迎えました。彼の治世の開始とともに、北部ベトナムとの関係が複雑になり、特に陳朝との海戦が重要な転機となったことが指摘されています。

国王としての彼は、陳朝との激しい戦いの中で海戦を通じてその名を馳せます。その際、『明史』によると、羅皚は陳朝の司令官に制蓬峩の旗艦に関する情報を密告し、この行為が取り返しのつかない結果をもたらしたとされており、それが彼の裏切りにつながったといわれています。同時に、彼は北ベトナムから12年間チャンパを統治し、南ベトナムの領土を守るために尽力しました。その期間中には、王族や貴族の多くが陳朝に亡命し、これにより新たな政治的課題が生じました。

治世の間、羅皚は国の安定を維持しつつ、一部の大勢力には対応しきれなかったようです。特に、制多別の一族との対立や、またスムーズに国民の信頼を得ることができなかったことが影響し、多くの王族や貴族は北ベトナムへ避難しました。その結果、北ベトナムのタイビン省やゲアン省、ハティン省、さらに南端のトゥアティエンフエ省にも彼らの子孫が新たな拠点を築いたとされています。この時期の亡命者たちが築いたとされる制族祠は、今も各地に残されています。

また、彼の治世中にチャンパ王国は明に朝貢を行う狙いもありましたが、その結果は必ずしも成功とならず、洪武帝に退けられることとなりました。しかし、歴史家の中にはこの評価に疑問を呈する者もおり、マスペロは『明史』編纂者の描く閣勝と羅皚が同一視されるのは誤解だと主張しています。

その後の1401年、羅皚はこの世を去り、彼の子である巴的吏が王位を継承しました。ビンディン碑文やビエンホア碑文にも記されているように、この時期、チャンパは北ベトナムの大越帝国やカンボジアのクメール帝国との闘争において善戦し、また多くの小王国に対しても攻撃を仕掛けました。このように羅皚が治めた時代は、チャンパ王国にとって重要な歴史的局面であったと言えるでしょう。

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