美少女文庫

美少女文庫とは

美少女文庫は、かつてフランス書院から刊行されていた文庫レーベルで、ジュブナイルポルノに分類される作品を扱っていました。「L・O・V・E・宣言!」というキャッチコピーが印象的で、2003年5月に創刊されました。

概要

フランス書院は以前から「ナポレオンXXノベルス」などのジュブナイルポルノレーベルを展開していましたが、美少女文庫の創刊によって事実上リニューアルされました。当時、ナポレオンXXノベルズの発行ペースが低下していたことや、成人向け漫画誌との連携が変化していたことが背景にあります。美少女文庫は、新書判が主流だったジュブナイルポルノにおいて、文庫判でありながらも新書より安価な価格設定で販売されました。その後、他社からも同様の文庫レーベルが登場しましたが、美少女文庫は競合が少ない状況でスタートを切りました。

従来のジュブナイルポルノレーベルとは異なり、美少女文庫は扇情的なイラストを避け、一般的な美少女イラストを表紙に採用し、カラー口絵を用意するなど、ライトノベルを強く意識した戦略を取りました。作品内容も学園生活や恋愛をテーマにしたものが多く、「萌え」要素を取り入れることで、一般向けライトノベルとの親和性を高めています。挿絵も著名なイラストレーターが担当することがありました。

一方で、作品の萌え属性をタイトルで明示したり、口絵が本編の特定のシーンを指しているわけではなかったり、新刊情報が発売直前まで伏せられていたりと、フランス書院の官能小説の特徴も受け継いでいました。また、成人向けとして扱われず、一般向けライトノベルと同じ棚に陳列されることもありました。

公式サイトでは、文庫や電子書籍の販売、WEB小説の掲載、萌えポイント制度などが展開されていました。初期にはジュブナイルポルノのプロパー作家が中心でしたが、近年では一般向けライトノベルのベテラン作家も執筆陣に加わっています。また、アダルト同人漫画やCG集のノベライズといった実験的な試みも行われました。

2023年のフランス書院文庫サイトリニューアルに伴い、公式サイトは閉鎖されました。公式Twitterはリニューアルされ、美少女文庫の系譜はフランス書院eブックスに引き継がれましたが、著者の継続はほとんど見られません。

美少女文庫えすかれ

2009年3月には、姉妹レーベル「美少女文庫えすかれ」が創刊されました。「エスカレート」を意味するこのレーベルは、美少女文庫がフランス書院の伝統的な編集方針を踏襲するのに対し、「条件や編集制限を設けない」ことを特徴としていました。表紙デザインが異なるため、美少女文庫との区別は容易でしたが、2017年6月に廃止されました。

外見上の特徴

白を基調とした光沢のあるカバーが特徴で、帯には惹句、ヒロインのイラスト、タイトル、著者名、イラストレーター名が記載されています。初期の作品には金や銀が施された帯が使用されていましたが、その後ナチュラルな色の帯が使用されました。現在は帯がなくなり、表紙の下に見所が書かれています。裏表紙には、カラー口絵イラストの一部が配置され、背表紙には作品ごとに小さなイラストとタイトルが記載されています。

基本的にあとがきや著者・イラストレーターのプロフィールは記載されません。わかつきひかる氏によれば、ジュブナイルポルノ作品のタイトルや章タイトルは編集者が決定し、主人公以外の男性キャラクターの登場が制限されるというルールが存在するとのことです。

アニメ化作品

美少女文庫、美少女文庫えすかれ共に、アダルトアニメ化された作品が存在します。

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