美少年忠臣蔵

美少年忠臣蔵

1962年8月5日にビクターからリリースされた橋幸夫のシングル「美少年忠臣蔵」は、彼の24枚目にあたる作品です。この楽曲は、作詞を佐伯孝夫、作曲を吉田正が担当し、橋幸夫のデビューから一貫して変わらない面々が手掛けています。

作品の特徴

本楽曲は、これまでに数々の作品が発表された美少年シリーズの第三弾であり、過去の股旅物とは異なり、歴史をテーマにした時代歌謡に位置づけられます。具体的には、江戸時代元禄期に発生した赤穂事件、すなわち忠臣蔵を基にしています。
歌詞では、討ち入った47士の中から、大石主税と矢頭右衛門七の二人が特に取り上げられています。大石主税は家老大石内蔵助の嫡男であり、47士の中では最も若いメンバーです。一方、矢頭右衛門七は身分は低いためあまり注目されませんが、父親とともに討ち入りに参加し、父親が亡くなった後は大石主税の後に続く若者として描かれています。歌詞の中では「赤く咲く咲く若ざくら」と称され、彼らの青春と悲劇が強調されています。

作詞と作曲の背景

佐伯孝夫はジャーナリストの経歴を持ち、古文や古典への深い理解を活かし、時代劇や歴史に根ざした歌詞を多く作詞しています。彼の作品は、歴史的な背景や情感を感じさせるものが多く、今回の「美少年忠臣蔵」もその例に漏れません。一方、吉田正による楽曲は、討ち入りのシーンにおける山鹿流陣太鼓を取り入れたイントロが特徴的で、作品全体に迫力を与えています。

音楽評論家の小野善太郎は、橋の歌い方について「かなり力こぶが入った唄い方で、悲劇的な内容を重厚に唄い上げている」と評しています。これにより、楽曲は一層の深みと印象を持つことに成功しています。

カップリング曲

なお、カップリング曲として収録された「おぼろ月夜の三度笠」も、同じく佐伯孝夫が作詞し、吉田正が作曲を手がけています。この曲はA面とは対照的に「軽いノリ」を持つ楽曲となっており、二曲で異なる表情を見せています。

収録アルバム

「美少年忠臣蔵」は初期のLP盤アルバムに収録されているものの、近年のCD盤アルバムには収められていないのが現状です。しかし、CD-BOX形式での収録は行われています。例えば、1993年に発売された『橋幸夫大全集』や、2011年に発売された『橋幸夫のすべて』の中に含まれています。

このような理由から、「美少年忠臣蔵」は橋幸夫の代表作の一つとして、多くのファンに親しまれています。

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