美濃派

美濃派（みのは）とは

美濃派は、江戸時代に隆盛した俳諧の一流派であり、松尾芭蕉の高弟であった各務支考（かがみ しこう）によって開かれました。支考は自身の庵号「獅子庵」から「獅子門」を自称し、美濃地方を中心に全国にその勢力を拡大しました。美濃派は、芭蕉の俳諧理念を継承しつつも、独自の発展を遂げた流派として知られています。

美濃派の歴史

美濃派の創始者である各務支考は、芭蕉の没後、全国を行脚して地方俳壇を開拓し、多くの門弟を獲得しました。支考は、「虚実」「俗談平話を正す」ことを理念とし、俳書俳論の刊行や芭蕉追善会の主催を通して、蕉門の正統な後継者であることをアピールしました。しかし、その勢力の拡大とともに、美濃派は「田舎蕉門」「支麦の徒」などと批判されることもありました。それでも、美濃派の系譜は連綿と受け継がれ、現代に至るまで活動を続けています。

獅子門としての美濃派

美濃派は、別名「獅子門」とも呼ばれています。これは、支考の別号である「獅子老人」に由来します。支考は全国を旅しながらも、美濃を本拠地として活動しており、歴代の宗匠にも美濃に在住する者が多かったため、美濃派と呼ばれるようになりました。獅子門は、松尾芭蕉を祖師とし、各務支考を始祖とする芭蕉直系の結社であり、その歴史は350年以上とされています。これは、日本最古、ひいては世界最古の俳諧結社とされています。

美濃派の系譜

美濃派の系譜は、「獅子門美濃派資料館」の資料に基づいており、以下の通りです。

1世：松尾芭蕉
2世：各務支考
3世：仙石廬元坊
4世：田中五竹坊（この代で以哉派と再和派に分裂）

以哉派

5世：安田以哉
6世：大野是什坊
7世：野村白寿坊
8世：岡崎風廬坊
9世：山本友左坊
10世：浅野逸歩仙
11世：青木奚花坊
12世：石原士游
13世：高木巒化
14世：桑原右麦
15世：国井化月坊
16世：大谷文寿坊
17世：棚橋碌々翁
18世：田中専雅
19世：大野夢外仙
20世：清水一瓢
21世：西松吟風
22世：安藤迂言
23世：川合文化
24世：三浦雲居
25世：熊谷夜城
26世：国枝静也
27世：長屋其馨
28世：森桂園
29世：山田三秋
30世：南谷翠濤
31世：恩田憲和
32世：高橋清斗
33世：足立吾柳
34世：武藤景行
35世：益井一鴎
36世：河井一白

再和派

5世：河村再和坊
6世：佐々木森々庵
7世：多賀雨岡庵
8世：渡辺一楽庵
9世：多賀徐風庵
10世：田中五竹庵
11世：高橋遅楽庵
12世：市橋梔庵
13世：国枝廬松庵
14世：戸倉耕月庵
15世：長沼麦庵
16世：神野曙庵
17世：塩谷千秋庵
18世：錦見古今庵
19世：石田一味庵
20世：千葉汀庵
21世：野田徐庵
22世：高橋杜鵑庵
23世：高橋旭庵
24世：田中盤古庵
25世：丹羽玄々庵

1973年、以哉派と再和派は合同し、以降は以下の系譜が続いています。

37世：各務於菟
38世：澤田廬月
39世：國島十雨
40世：伊藤百雲
41世：大野鵠士（2023年現在）

現在の獅子門の活動

現在の「獅子門」の活動については、公式ホームページ（獅子門）で詳しく紹介されています。美濃派の伝統は、現代においても脈々と受け継がれています。

もう一度検索