羽田空港新飛行経路 (南風運用)

羽田空港新飛行経路の概要

羽田空港新飛行経路（はねだくうこうしんひこうけいろ）は、2020年3月29日から東京国際空港で運用が開始された着陸ルートで、主に南風時の運用に特化したものです。この新しい経路は、都心上空を通過する南風運用、いわゆる都心ルートとして知られています。新飛行経路導入の背景や具体的な運用方法、騒音対策などについて詳しく紹介します。

運用開始までの経緯

羽田空港の発着枠増加の必要性

羽田空港は周囲に住宅が密集しており、過去には着陸・離陸経路が制限されていました。特に、南風時はB滑走路とD滑走路に限定され、特別な運航条件下でもC滑走路に頼っていました。この時、着陸機は急旋回を行わなければならず、操作が難しいため、航空会社によっては運用が禁止されることもありました。発着回数も1時間最大84回と制限されており、国際線拡充の必要が叫ばれていました。2016年には、東京オリンピック開催に伴い年6万回から9万9000回への発着枠増加の方針が示されました。

横田空域の問題

羽田空港、新宿市、成田空港、さらに横田基地の管制空域が重なるため、航空機の運航には複雑さがありました。特に、横田空域の影響を考慮した新ルート設定のため、日本とアメリカ間で調整が行われ、2019年に合意に達しました。

南風運用時の運用方法

新飛行経路は、午後3時から午後7時までの4時間のうち、3時間のみ運用されます。具体的な滑走路や新設された航空保安施設については以下の通りです：

• - A滑走路（16R）: 進入灯の設置やグライドスロープの新設、誘導路の整備が行われました。
• - C滑走路（16L）: 同様に進入灯やグライドスロープの設置、脱出誘導路の新設がなされています。

騒音問題とその対策

新飛行経路に伴い、騒音が一つの重要な課題となりました。国土交通省は着陸角度を引き上げることにより騒音軽減を図り、東京都内に固定騒音測定局を設置し、状況を監視しています。この測定によると、2020年10月時点では平均騒音値は許容範囲内に収まっていました。

咄嗟の対応策

着陸時の角度を3.45度にすることで騒音を軽減し、パイロットには高揚力装置の展開をできるだけ遅く行うよう指示しています。また、B滑走路の離陸便数を制限し、発着操作を工夫するなどの対策が講じられました。

落下物に関する懸念

新ルートにより航空機からの落下物の危険性も指摘されています。国土交通省は、適切なメンテナンスを行うことで過去の事例に基づいた対策を強化しています。航空機の部品の落下に対する保障制度が整備され、事故が起きた場合には迅速な対応が求められています。

代替案の検討

新飛行経路の固定化を避けるため、他のルート案も模索されており、2020年から技術的方策検討会が設置されています。

新飛行経路の導入は、羽田空港の発着枠を拡大し、国際線の需要に応えるための重要なステップです。新たな運用に伴う騒音問題や安全対策の強化が求められる中、今後も持続的な改善が進められることが期待されます。

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