羽鳥徳太郎

羽鳥徳太郎 (はとり とくたろう)

日本の地震学者であり、特に歴史地震に伴う津波の研究で著名な人物です。1922年に生まれ、2015年12月6日に逝去されました。羽鳥徳太郎の研究は、過去の地震によって引き起こされた津波の規模、発生メカニズム、伝播特性を詳細に分析し、それらの知見を現代の防災対策に役立てることを目指しています。

研究内容

羽鳥徳太郎は、歴史的な記録や古文書を丹念に調査し、過去に発生した津波の痕跡を特定することに注力しました。特に、以下のようなテーマで重要な研究成果を挙げています。

歴史津波の波源特定: 明応7年（1498年）や慶長9年（1605年）の津波など、過去に発生した大津波の波源域を特定し、地震と津波の関連性を明らかにしました。
津波の伝播とエネルギー分布: 日本沿岸における津波のエネルギー分布や、大陸からの反射波が津波に与える影響を研究しました。
津波の遡上状況: 元禄関東地震（1703年）や安政東海地震（1854年）など、過去の津波が各地でどの程度遡上したかを調査し、具体的な被害状況を明らかにしました。
津波の規模と波源域: 1983年の日本海中部地震津波や、1984年の鳥島近海地震津波など、近代の津波についても詳細な分析を行い、規模と波源域を特定しました。
津波の地域特性: 能登半島における津波の屈折効果や、新潟・山形県沿岸における津波の波高増幅度など、地域ごとの津波特性を研究しました。
遠地津波: 東南アジアや南西太平洋で発生した津波が日本沿岸に与える影響についても研究し、遠地津波の挙動を解明しました。

主要な著書と論文

羽鳥徳太郎は、その研究成果を数多くの論文や著書として発表しました。

主要著書

『歴史津波―その挙動を探る』 (1977年、海洋出版)

主要論文

「明応7年・慶長9年の房総および東海南海道大津波の波源」（1976年）
「元禄・大正関東地震津波の各地の石碑・言い伝え」（1976年）
「三陸沖歴史津波の規模と推定波源域」（1976年）
「南房総における元禄16年(1703年)津波の供養碑：元禄津波の推定波高と大正地震津波との比較」（1976年）
「1983年日本海中部地震津波の規模および波源域」（1984年）
「1984年6月13日鳥島近海地震による特異な津波」（1985年）
「日本海津波における大陸からの反射波」（1986年）
「日本沿岸における遠地津波のエネルギー分布」（1989年）
「寛政5年(1793年)宮城沖地震における震度・津波分布」（1988年）
「北海道およびサハリンのオホーツク海沿岸における南千島津波の挙動」（1990年）
「伊豆諸島周辺における津波の規模 1990年2月20日大島近海津波・1990年9月24日東海道はるか沖津波」（1991年）
「日本海沿岸における津波のエネルギー分布」（1995年）
「能登半島における津波の屈折効果」（1999年）
「東南アジア, 南西太平洋域津波による日本沿岸の波高分布」（2002年）
「東京湾・浦賀水道沿岸の元禄関東（1703）、安政東海(1854)津波とその他の津波の遡上状況」（2006年）
「四国西部・九州東部沿岸における宝永(1707),安政(1854),昭和(1946)南海津波の波高増幅度」（2011年）
「2011年東北地方太平洋沖地震津波の規模」（2012年）
「日本海の歴史津波 」（2013年）
「2011年東日本巨大地震前後の三陸沖津波」（2014年）
* 「新潟・山形県沿岸・佐渡における津波の波高増幅度」（2015年）

これらの論文を通じて、羽鳥徳太郎は津波研究の分野に多大な貢献を果たし、後進の研究者たちに大きな影響を与えました。

まとめ

羽鳥徳太郎は、日本の津波研究における先駆者であり、彼の研究は過去の津波の理解を深めるだけでなく、将来の津波災害に対する備えを強化する上で重要な役割を果たしました。彼の業績は、今後も津波研究における重要な基礎となり続けるでしょう。

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