翼あるもの

アルバム『翼あるもの』の魅力

『翼あるもの』は、1978年にリリースされた甲斐よしひろの初のソロカバーアルバムです。この作品は甲斐の独自のアレンジによるもので、全曲がカバーとして構成されています。レコーディングはアメリカのナッシュビルで行われ、甲斐はこのアルバムのためにレコード会社をポリドールに変更しました。彼自身の音楽的成長を促す目的でこのアルバムを制作したと語っています。

甲斐の意気込み

甲斐はこのアルバムに特別な思いを込めています。バンド内での緩やかな雰囲気に刺激を与え、次作の甲斐バンドのアルバム『誘惑』の制作の流れを生み出すことになりました。この結果、シングル「HERO」が1位を獲得することにもつながったのです。ソロとバンドで異なるレコード会社から音楽をリリースすることは当時としては珍しく、彼の音楽への情熱と挑戦がうかがえます。

再発と復刻

1989年6月25日には、ポリドールからCD版がリリースされ、収録曲の順序が甲斐の意向により変更されました。さらに2003年にはユニバーサルミュージックから、紙ジャケット仕様のデジタルリマスター盤『翼あるもの（＋1）』が復刻されました。この復刻版には、シングル「グッド・ナイト・ベイビー」のB面である「卒業」がボーナストラックとして収録されています。

収録曲のハイライト

このアルバムには多様な楽曲が収められており、それぞれが甲斐の編曲によって再生されています。以下は本アルバムに収録されている曲の一部です。

• - グッド・ナイト・ベイビー: ザ・キング・トーンズのカバーで、甲斐による独特の解釈が光る一曲です。
• - えんじ: 森山達夫のアマチュア時代の楽曲をカバーしたもので、感情を豊かに表現しています。
• - 10＄の恋: 憂歌団の名曲をアレンジし、新たな風を吹き込んでいます。
• - 恋のバカンス: ザ・ピーナッツのヒット曲を甲斐が巧みにカバー。
• - マドモアゼル・ブルース: ザ・ジャガーズの楽曲を再構築し、新たな魅力を引き出しています。

他にも、浜田省吾の「アバズレセブン・ティーン」など、多彩な楽曲が揃い、聴きごたえのある内容となっています。特に「蛹色の人生」は甲斐自身の作詞・作曲によるもので、彼の音楽的アイデンティティを強く感じさせる一曲です。

参加ミュージシャンたち

このアルバムの魅力は、甲斐の独自のアレンジだけでなく、参加ミュージシャンの技術にもあります。ドラムにはラリー・ロンディン、ベースにはマイク・リーチとヘンリー・ストレッキー、キーボードにはボビー・ウッドなど、豪華なメンバーが参加しています。ギターにはレジー・ヤングやビリー・サンフォードといったアーティストが名を連ね、音楽性を豊かにしています。コーラスにはシェリーやジンジャーなども加わり、全体の緻密なハーモニーを作り上げています。

この『翼あるもの』は、甲斐よしひろのアイデンティティが色濃く反映された作品であり、音楽の深みを感じさせる傑作です。彼の音楽家としての成長や挑戦を感じることができるこのアルバムは、多くの音楽ファンにとって大切な一枚となることでしょう。

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