翼賛政治会

翼賛政治会の歴史と影響

翼賛政治会（よくさんせいじかい、英語: IRAPS）は、昭和17年に日本で設立された政治団体で、戦時中の特異な体制を代表する存在でした。この団体は衆議院と貴族院の連合体であり、戦争体制のもとで「一国一党」の政治を推進しました。略称は翼政会です。

成立の背景

1942年の第21回総選挙、いわゆる翼賛選挙において、翼賛政治会の候補者たちは圧倒的な議席数を獲得しましたが、政府に対する批判的な立場を持つ議員たちも少なからず当選したことが懸念されました。この状況を受けて、内閣総理大臣の東條英機は、政治界やビジネス界、メディアの代表者を招き、翼賛政治結集準備会を設立しました。

1942年5月14日には新組織の名称や綱領、規則が発表され、新たな政治団体が設立される運びとなりました。しかし、実際には、大政翼賛会の別動隊として活動し、大政翼賛会の候補者から構成される翼賛議員同盟がその中核を成していました。非推薦候補者たちが所属していた他の小会派は解散を命じられ、結果的に衆議院議員は新組織に参加しない限り、政治活動を行うことができなくなりました。

院内での権力構造

1942年5月20日に正式に翼賛政治会が結成され、阿部信行元内閣総理大臣が初代総裁に就任しました。衆議院議員は466名中458名、貴族院議員は411名中326名がこの組織に参加しました。翼賛政治会はその目的として、政権の安定と戦争遂行のための協力を掲げました。

政治活動と内紛

翼賛政治会では、政府提出の法案が速やかに可決されることが求められ、議員たちは政府に対して従順であることが義務づけられました。最高機関として設立された総務会には、非議員のメンバーが多くを占め、影響力を持つようになりました。しかし、次第に同党内での対立が顕在化し、新人議員の間でも異なる意見が衝突するようになりました。特に、既存の右翼出身者と大日本翼賛壮年団出身者との間で路線対立が生じました。

また、翼賛政治会は新たな選挙活動ができない状況下で大政翼賛会との合併を求める動きがありましたが、これは東條首相の反対により頓挫しました。1943年6月、数名の議員が翼賛政治会から脱退する事態も発生し、内部の団結が揺らぎ始めました。

統合の試みと崩壊

戦局が厳しくなる中、1944年7月に小磯国昭が新しい内閣総理大臣に就任し、その後、指導者たちによって翼賛政治会の改組が提案されました。この際、大政翼賛会との統合が検討されましたが、結果的に内部からの反発を受け、構想は破綻しました。

そして、1945年3月に関係議員たちが新たな政党を結成する動きを見せた結果、翼賛政治会は解散に追い込まれ、最終的には日本の敗戦を迎えることとなりました。戦後は、戦争責任を問われる形で多くの翼賛政治会幹部が逮捕され、巣鴨拘置所に収容されることとなりました。

結論

翼賛政治会は、日本の歴史の中で特異な「一国一党」体制を具現化し、戦時下の政治運営において重要な役割を果たしました。しかし、内部の対立や外部の圧力により、結局その体制は崩壊し、敗戦に至りました。

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