老婆餅

老婆餅（ラオポービン）とは

老婆餅は、中国の広東省に起源を持つ伝統的な餅菓子です。漢字では「冬蓉酥」とも表記され、英語圏では「スイートハートケーキ」と呼ばれることもあります。その特徴は、サクサクとしたパイ生地の中に、甘く煮詰めた冬瓜の餡ともち粉が入っていることです。

外観と特徴

老婆餅は基本的に円形をしており、外側は薄くサクサクとしたパイ生地で覆われています。中には、熟した冬瓜を甘く煮詰めた餡ともち粉が入っています。冬瓜餡はもともと淡白な味わいですが、砂糖を加えることで甘みが引き出され、近年ではバタークリームを加えた洋風のバージョンも登場しています。

歴史と起源

老婆餅の起源には、いくつかの説がありますが、どれが真実かは明確にはなっていません。以下に、最も有力とされている3つの説を紹介します。

説1：夫婦の愛情物語

昔、裕福な夫婦がいました。妻が冬瓜を使って美味しい餡を作り、それを丸い餅にして夫が市場で売り始めたところ、大変な人気を集めました。この餅の美味しさを称え、夫は愛情を込めて「老婆餅（妻の餅）」と名付けたと言われています。

説2：献身的な愛の物語

また別の説では、ある妻の家族の長老が病気になり、薬が手に入らなかったため、妻は自分を売って助けることを決意しました。深く妻を愛していた夫は、妻を買い戻すために、美味しい餅を開発し、その売り上げで妻を救いました。この献身的な愛の物語から、この餅は「老婆餅」と呼ばれるようになったと伝えられています。

説3：広州「蓮香楼」発祥説

広州の老舗茶楼「蓮香楼」で初めて作られたという説もあります。「蓮香楼」は早い時期に潮州出身の点心職人を雇い、その職人が故郷で作っていた揚げ冬瓜の砂糖漬けを持ち込みました。これをヒントに、他の職人たちが新たな餅菓子を開発したのが、老婆餅の始まりであると言われています。

現在の老婆餅

老婆餅は広東省で生まれたものの、現代の広東省では徐々に見かけることが少なくなっています。現在では、香港や台湾で非常に人気があり、日常的に親しまれています。伝統的な製法を守りつつ、新しい味や形を取り入れた商品も登場し、多くの人に愛されています。

まとめ

老婆餅は、そのサクサクとした食感と優しい甘さが魅力の伝統的な餅菓子です。その起源には様々な物語があり、人々の愛情や創意工夫が込められています。機会があれば、ぜひ一度味わってみてください。

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