考える人 (ロダン)

考える人

「考える人」（フランス語: Le Penseur）は、著名なフランスの彫刻家オーギュスト・ロダンによって制作されたブロンズ像で、深い思索にふける人物を描いています。この作品は、単に思考を象徴するだけでなく、ある説によれば、地獄に堕ちた人々を見つめる存在とも考えられています。

概要

「考える人」は、もともとは“Le Poète”つまり「詩人」と名付けられていましたが、ロダンの死後、鋳造を手がけたファウンドリ・リュディエによって「考える人」という名称が付けられたとされています。この彫刻は、ロダンが装飾美術博物館（Musée des Arts Décoratifs）の門をダンテの『神曲』にインスパイアされて制作した『地獄の門』の一部として位置づけられています。実際にこの像は、地獄の門の頂上に置かれるつもりで彫られたもので、ダンテ自身が思考にふける姿を象徴しているという説がありますが、別の解釈としてロダン自身を表現したものとも考えられています。

設置場所

「考える人」のオリジナル像は多くの場所に存在し、国際的に展示されています。日本では、京都国立博物館や国立西洋美術館、長島美術館などに設置されており、またアジアでは台湾の亜洲大学及び奇美博物館が含まれています。ヨーロッパでは、フランスのロダン美術館やバチカン美術館、ベルギーのラーケン墓地など、アメリカ合衆国のクリーブランド美術館やスタンフォード大学にも存在します。さらに、アルゼンチンやブラジルのさまざまな施設にも所蔵されており、全体で26か所に及ぶバリエーションがあります。

脚注

多くの文献や資料が、ロダンのこの作品について言及しており、文化や歴史における影響力の高さを物語っています。また、様々な芸術作品やメディアにも「考える人」は取り上げられており、例えば、NHK教育テレビで古くから使用されているジャンクション映像や、映画『独裁者』ではその姿が引用されていることもあります。

「考える人」は、単なる彫刻を超えて、私たちに深い思考を促す存在となっています。思索の象徴として示されるこの彫刻は、今や多くの人々に感動を与え続け、芸術界において不動の地位を誇る作品であると言えるでしょう。

もう一度検索