耶律重元

耶律重元（やりつ じゅうげん）

耶律重元（1021年 - 1063年）は、遼（契丹）の皇子であり、聖宗と欽哀蕭皇后の次男として生まれました。幼名は孛吉只（ボギジ）といいました。

生涯

若き日の活躍

重元は、幼い頃から武勇に優れ、容姿も麗しかったと伝えられています。寡黙な性格でしたが、その人柄から人望を集めていました。1023年には秦国王に封じられ、その才能は早くから認められていました。

1031年、聖宗が崩御し、欽哀皇后が政治を執り行うと、重元を皇帝に擁立する計画が持ち上がりました。しかし、重元自身がこの計画を興宗に密告したため、興宗からの信頼を得ることになりました。その後、皇太弟に封じられ、北院枢密使や南京留守などの要職を歴任しました。また、五京に契丹警巡使を設置するよう提案し、その実行力と先見の明を示しました。

皇太叔としての栄華

1055年に道宗が即位すると、重元は皇太叔として遇され、皇帝に謁見する際に名乗りを免除されるという特権を与えられました。1056年には天下兵馬大元帥に任じられ、1058年には再び金券を賜るなど、遼朝において比類なきほどの尊重を受けました。4頂帽と2色袍を許されるなど、その地位は非常に高いものでした。

反乱と最期

しかし、1063年、道宗が灤水で狩猟を行った際、重元は子の耶律涅魯古（やりつ ネルコ）と共謀して反乱を計画しました。重元は涅魯古や陳国王の陳六、知北院枢密事の蕭胡睹ら400人を率い、弩手軍を脅して味方に引き入れ、道宗の行宮を襲撃しました。しかし、涅魯古が突出して射殺され、重元の仲間たちは次々と敗走しました。計画の失敗を知った重元は、北の砂漠に逃れ、「涅魯古が私をこのような状況に陥らせたのだ」と嘆き、自害しました。

重元の反乱は失敗に終わり、彼の栄華は終焉を迎えましたが、その生涯は遼朝の歴史において特筆される出来事として記録されています。

参考文献

• - 『遼史』巻112 列伝第42 逆臣上

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