聖アンデレ十字

聖アンデレ十字

聖アンデレ十字（せいアンデレじゅうじ）または聖アンドロス十字は、キリスト教のシンボルであり、特にカトリック教会では「聖アンデレ十字」、正教会では「聖アンドロス十字」と呼ばれています。この十字は、英語ではセント・アンドリュー・クロス（Saint Andrew's Cross）、ロシア語ではアンドレイ十字（Андреевский крест）と表現されます。

シンボリズムと由来

聖アンデレ十字は、二本の直線が交差したX字型のデザインで、聖アンデレに由来します。彼はキリストの十二使徒の一員であり、X字型の十字架で処刑されたとされています。この十字は、しばしば太陽の象徴である通常の十字架に対して、月を象徴する斜めの十字と解釈されます。

特にスコットランドでは、セント・アンドリューが守護聖人とされ、セント・アンドリュー・クロスが国旗として使用されています。このことに関連する伝説によると、9世紀の初めにスコットランド系のピクト族の王フングスが、イングランド王アセルスタンと戦っていました。フングスは、援軍として駆けつけたスコットランド王アカイウスが戦う前夜に、聖アンデレ十字の輝く夢を見たことから、勝利を確信しました。結果、スコットランドは圧勝を収め、その後、フングスは聖アンデレの寺院を建立しました。

フラッグとしての使用

セント・アンドリュー・クロスは、特にスコットランドの国旗を指す際に用いられます。そのデザインは青地に白のサルタイアー（斜め十字帯）であったり、白地に青のソールタイアであったりします。スコットランドの国旗をはじめ、ロシア海軍やウクライナの軍艦旗、さらにはカナダのノバスコシア州の州旗にも使用されています。

スコットランドでこのX十字旗が初めて用いられたのは、800年頃とされ、当初は色が特定されていませんでした。色が白と定められたのは1385年、地の色が青と決まったのは17世紀のことです。ロシア海軍の軍艦旗として広く知られる聖アンドレイ旗は、スコットランドのまた別のデザインを持っており、青と白の配置が逆になっています。

勲章と軍隊への影響

聖アンデレ十字は、さまざまな勲章や紋章にも組み込まれており、特に帝政ロシアでは聖アンドレイ勲章が制定され、その記章に青い聖アンドレイ十字が使用されていました。スコットランドの最高勲章であるシッスル勲章にも、この十字がデザインされています。

イギリス陸軍においても、スコットランドの連隊はセント・アンドリュー・クロスを部隊章に取り入れてきました。現行のロイヤル・スコットランド連隊やスコッツガーズ連隊の帽章には、このシンボルが取り入れられています。

まとめ

聖アンデレ十字は、キリスト教における重要な象徴であり、地域ごとに異なる歴史と文化的背景を持っています。その独自のデザインと、スコットランドやロシア、さらには軍事的なシンボルとしての使用は、この十字がいかに多様な形で人々の心に残っているかを示しています。

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