聖ゲオルギー・リボン

聖ゲオルギー・リボンとは

聖ゲオルギー・リボンは、黒とオレンジの縞模様が特徴的なリボンであり、ロシア軍の象徴として広く知られています。3本の黒い縞と2本のオレンジ色の縞で構成されており、黒は火薬、オレンジは炎を象徴するとされています。このリボンは、ロシア帝国時代からソビエト連邦時代、そして現在のロシア連邦に至るまで、多くの高位勲章のデザインに取り入れられてきました。

歴史的背景

21世紀初頭から、聖ゲオルギー・リボンは、第二次世界大戦における東部戦線（ロシアでは大祖国戦争として知られる）の戦没者追悼と、従軍経験者への支援を示すアウェアネス・リボンとしての意味合いが強まりました。戦勝記念日が近づくと、一般市民に無料で配布され、記念式典などで広く使用されるようになりました。

ロシア国内では、このリボンは愛国心や国民の団結の象徴として、またロシア連邦政府への支持を示す手段として広く受け入れられています。しかし、その一方で、2014年以降、ウクライナやバルト三国などの旧ソ連構成国の一部では、親ロシア的な感情や分離主義運動との関連性から、政治的な意味合いを持つようになり、物議を醸す存在となりました。

2022年戦勝記念日における聖ゲオルギー・リボン

2022年5月9日の戦勝記念日は、ロシアによるウクライナ侵攻の最中に開催されました。この年、聖ゲオルギー・リボンは、例年通りロシア各地の式典で装飾として多用され、プーチン大統領の背広の襟にも着用されました。また、特筆すべき点として、聖ゲオルギー・リボンが、ウクライナ侵攻への支持と武力紛争での勝利を示す象徴である「Z」の形に装飾されるケースが多数見られました。

ウクライナ南東部の激戦地であったマリウポリでは、親ロシア派によって約300メートルにも及ぶ聖ゲオルギー・リボン模様の横断幕が掲げられ、行進が行われました。当時、マリウポリはロシアによって制圧宣言が出されていましたが、アゾフ連隊はアゾフスターリ製鉄所で抵抗を続けていました。

聖ゲオルギー十字との違い

聖ゲオルギー・リボンは、聖ゲオルギー十字とは異なるデザインです。聖ゲオルギー・リボンは黒とオレンジの同幅の縞模様であるのに対し、聖ゲオルギー十字は白い背景に赤い十字で構成されています。

聖ゲオルギー・リボンの現状

聖ゲオルギー・リボンは、その歴史的な背景から、ロシア国内では愛国心の象徴として広く受け入れられています。しかし、近年のウクライナ侵攻の影響により、国際的には複雑な政治的意味合いを持つシンボルとして認識されるようになっています。そのため、その使用に関しては、今後も議論が続くことが予想されます。

関連項目

ウクライナ紛争 (2014年-)
Z (軍隊符号)

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