聖バーフ大聖堂 (ヘント)

聖バーフ大聖堂について

聖バーフ大聖堂（Sint-Baafskathedraal）は、ベルギーのフランデレン地域、東フランデレン州の都市ヘントにあるローマ・カトリックの教会で、司教座聖堂としての役割を果たしています。この大聖堂は、ヘント市民にとって聖人として崇敬されている「バーフ」にちなんで名付けられています。

歴史的な背景

聖バーフ大聖堂の起源は、元々は洗礼者ヨハネに献堂された「聖ヤン教会」という名を持っていました。この教会は、ヘントの城壁内で最も古い教会であり、教区民の寄進によって建設が行われたため、完成には長い時間を要しました。特に、1420年頃に行われた南側礼拝堂の建設は、毛織物職人のヨース・フェイトの寄付によって支えられていました。この時にフーベルト・ファン・エイクに依頼した祭壇画が、後に有名な「神秘の子羊」として知られるようになりました。

1432年に完成した「神秘の子羊」は、現在でもこの大聖堂の象徴的な美術品として、多くの訪問者を魅了しています。さらに、1500年には、神聖ローマ皇帝のカールがここで洗礼を受けました。

重要な出来事と変遷

1538年、ヘントの市民たちが叛乱を起こしましたが、カールは迅速に対応し、市民たちの特権を剥奪しました。この混乱の中で、聖バーフ修道院は取り壊され、聖ヤン教会に聖堂参事会が移転する結果となりました。1540年以降は、教会名も聖バーフ教会に変更されました。

その後、スペイン王フェリペ2世がネーデルラントを支配し、1559年にはこの教会をヘント教区の司教座聖堂に再編しました。このような歴史的背景を持つ聖バーフ大聖堂は、宗教的だけでなく、政治的な中心地としても重要な役割を果たしました。

芸術作品の宝庫

聖バーフ大聖堂は、美術作品の宝庫でもあります。その中で特筆すべきは「神秘の子羊」ですが、その他にも多数の重要な作品が展示されています。17世紀の画家ピーテル・パウル・ルーベンスによる「聖バーフの修道院入門」や、1740年代のローラン・デルヴォーによる「真理の説教壇」などがあり、訪れる人々は多様なアートに触れることができます。

戦争と修復

「神秘の子羊」は、20世紀においても波乱の運命を辿りました。第一次世界大戦後にドイツから返還されたものの、1934年の盗難事件により一部が行方不明となりました。戦争中にはフランスに疎開させるも、ナチスから戻され、1986年まではフェイト礼拝堂に安置されていました。しかし、作品全体が見づらい問題があったため、その後旧洗礼堂へ移設されました。2012年から2017年にかけて、最新の科学技術を用いて修復作業が行われ、再び聖バーフ大聖堂で目にすることが可能となりました。

最後に

聖バーフ大聖堂は、その壮大な建築と歴史的な美術品によって、訪れる人々に深い感銘を与える場所です。ヘントを訪れる際には、是非この大聖堂に足を運び、その魅力を直接体験してみてください。

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