聖ピオ十世会

聖ピオ十世会（SSPX）とは

聖ピオ十世会（せいピオじっせいかい、SSPX）は、カトリック教会の伝統主義を主張する団体です。1970年にフランスのマルセル・ルフェーブル大司教によって創立されました。第二バチカン公会議後の改革に反対し、伝統的な典礼様式や教義の維持を訴えています。

概要

聖ピオ十世会の特徴は、以下の点が挙げられます。

典礼におけるラテン語の厳守とトリエント・ミサの執行: 第二バチカン公会議後の典礼改革を認めず、伝統的なミサ様式を重視しています。
教皇庁との関係: 創立当初から教皇庁との間で様々な問題が発生し、一時破門される事態となりましたが、近年は関係修復に向けた対話が行われています。

歴史

ローマから離反の経緯

聖ピオ十世会は、第二バチカン公会議（1962年–1965年）に伴う変化への反対から生まれました。創立者のマルセル・ルフェーブル大司教は、公会議後の改革を「非カトリック的かつ近代主義的」と捉え、伝統的な教義と典礼を守るために同志と聖ピオ十世会を設立しました。

1988年の司教聖別と破門

1988年、ルフェーブル大司教は教皇庁の許可を得ずに4名の司祭を司教に聖別しました。この行為は教会法に違反するものであり、教皇ヨハネ・パウロ2世はルフェーブル大司教とその司教たちを破門しました。

教皇庁との交渉

破門後も、聖ピオ十世会と教皇庁との対話は続けられました。2009年には、教皇庁は司教たちの破門を解除し、関係改善への期待を示しました。しかし、教義上の問題は依然として存在し、聖ピオ十世会の教会法上の地位は確立されていません。

2015年には、教皇フランシスコが「いつくしみの特別聖年」の期間中、聖ピオ十世会の司祭による「ゆるしの秘跡」を有効とすると発表しました。これは、関係改善に向けた一歩と見られています。

現況

聖ピオ十世会は、世界各地で活動を展開しています。2009年11月時点で、491人の司祭が31ヶ国におり、725ヶ所のミサを捧げる聖堂があります。また、神学校や学校などの教育機関も運営しています。

分離した団体

聖ピオ十世会からは、様々な理由で分離した団体が存在します。

聖ピオ5世会: 聖ピオ十世会をリベラルとみなし、より厳格な伝統主義を主張する団体です。
聖ペトロ司祭兄弟会: 教皇庁との和解を目指し、聖ピオ十世会から離脱した団体です。

聖ピオ十世会の主な主張

第二バチカン公会議の解釈における伝統的立場への固守
トリエント・ミサ（伝統的なラテン語ミサ）の重要性の強調
現代社会におけるカトリック信仰の維持

まとめ

聖ピオ十世会は、カトリック教会の伝統主義を代表する団体であり、その活動は教皇庁との関係や教会内の様々な問題と深く関わっています。教皇庁との対話は続いており、今後の動向が注目されます。

より深く理解するためには、以下の情報源を参照してください。

聖ピオ十世会の公式ウェブサイト
関連書籍や記事
カトリック教会の公式声明

これらの情報源を通じて、聖ピオ十世会の歴史、教義、そして現代における役割についてより深く理解することができます。

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