聖傅機密

聖傅機密（せいふきみつ）とは

聖傅機密は、正教会において、病に苦しむ人々が神の癒しと恩寵を求めて行われる機密（秘跡）です。ギリシア語では「Ευχέλαιο」、ロシア語では「Елеосвящение (соборование)」、英語では「Unction」と表記されます。この機密は、単に病気を治すためのものではなく、病を通してキリストの道を見出し、信仰を深めることを目的としています。

聖傅礼儀

聖傅機密が執行される奉神礼を聖傅礼儀といいます。この儀式では、司祭が聖油を病者の身体の各所に傅け、神の癒しを祈ります。しかし、医学的な治療に代わるものではなく、信仰による心の平安と、病を克服する力を得るためのものです。

聖傅機密の目的

正教会では、病気は単なる肉体の不調としてではなく、キリストの苦難と復活を象徴するものと考えられています。聖傅機密を通して、病者はキリストの病に対する姿勢を学び、どのように病を乗り越え、信仰を深めるかを考えます。この機密は、信仰の強さと神の意志があれば、病が癒される奇跡が起こり得るという考えに基づいています。

聖傅機密の主な目的は、病の癒しと罪の赦しです。しかし、肉体の癒しだけが神の意志であるとは限りません。真の目的は、病の苦しみを聖なるものと捉え、病者が復活への強さを得ることにあるとされています。

西方教会との違い

西方教会では、聖傅機密（終油の秘蹟）は臨終にある者に限定されることが多いですが、正教会では、臨終にある者には「臨終規程 - 霊魂出離の祝文」があり、聖傅機密は病に苦しむ全ての人々に対して開かれています。

その他の祈り

病からの回復を祈る際には、聖傅機密の他に、病者平癒の祈祷が行われることもあります。聖傅機密は、病を通して神とのつながりを深め、信仰を強めるための重要な儀式です。

聖傅機密は、病に苦しむ人々にとって、単なる癒しの儀式ではなく、信仰を深め、神の愛を体験する機会となります。

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