聖子ちゃんカット

聖子ちゃんカットの歴史と影響

松田聖子が1980年代初頭に流行させた「聖子ちゃんカット」は、日本のファッション史において重要な位置を占める髪型です。このスタイルは、彼女のデビューと共に若い女性たちの間で爆発的に流行し、多くの女性たちが真似をする社会現象を引き起こしました。

1970年代の背景

1970年代には、短めのトップとレイヤーのかかったサイドやバックが特徴の「サーファーカット」や「ウルフカット」がアメリカで流行し始めました。この流行は、人気ドラマ『チャーリーズ・エンジェル』に出演したファラ・フォーセットの髪型が影響を与え、多くの女性に模倣されました。さらに、オリビア・ニュートン＝ジョンもデビュー当時、聖子ちゃんカットと似たスタイルを披露しており、これらの影響は日本のアイドルたちにも広がりました。

聖子ちゃんカットの誕生

聖子ちゃんカットの具体的な源流については諸説ありますが、松田聖子自身の要望が大きかったと言われています。彼女は、海外の雑誌を参考にしながら、自分に合ったヘアスタイルを探していたようです。飯塚保祐が担当した美容師とも協力しながら、風になびく髪型をアレンジしていきました。このスタイルの原型は、彼女の高校時代の写真にも見られることから、若い頃からの発展であることが伺えます。

1980年にデビューしてからしばらくの間、聖子は特定のヘアメイク担当を持たず、自由にスタイルを楽しんでいましたが、1981年には「聖子ちゃんカット」が確立されました。この髪型は、トップアイドルとしての彼女のアイコンとなり、多くの女性が模倣する姿が見られるようになりました。

髪型のスタイリング

聖子ちゃんカットは、セミロングの基礎に、豊富なレイヤーを加えたスタイルが特徴です。前髪はやや多めに取り、目にかからないようにカットされていました。また、サイドのレイヤーは前髪と繋がるようにカットされ、バックは個々の嗜好や判断によりスタイルが異なりました。この髪型のブロー技術も特有で、内側に緩くカールさせることでボリューム感を出しています。

聖子ちゃんカットの流行とその影響

聖子ちゃんカットの人気は高まり、1980年代の若い女性たちの間で急増しました。特に、従来のスタイリング方法では難易度が高いため、ブラシとドライヤーが合体した「カールドライヤー」がヒット商品となるなど、流行から派生した産業も生まれました。

また、1982年にデビューした「花の82年組」と呼ばれる一連のアイドルたちも、この髪型を取り入れ、ジャンルを超えたスタイルとして広まりました。中森明菜がデビュー当初に聖子ちゃんカットに似たスタイルをしていたことも、聖子の影響を物語っています。

髪型の変遷と現代における再評価

しかし、聖子自身がこのスタイルに変化を求め、ショートヘアなどさまざまな髪型を試す過程で、聖子ちゃんカットの人気は次第に下火になっていきました。それでもなお、多くの事務所は新しいアイドルに対して聖子ちゃんカットを基盤にしたスタイルを推奨し続けました。

近年、2021年には約40年ぶりに聖子ちゃんカットを披露し、多方から注目を集めました。このように、聖子ちゃんカットは時代を超えて愛され続けている髪型であることは間違いありません。

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