聖書図書刊行会

聖書図書刊行会：日本のキリスト教出版史に刻まれた足跡

聖書図書刊行会は、日本のキリスト教出版において重要な役割を果たした出版社です。1951年、仙台市で設立され、神学校向けの教科書や一般信徒向けの教育書を中心に、キリスト教関連書籍の出版を手がけてきました。その活動は、日本のキリスト教界の発展に大きく貢献したと言えるでしょう。

設立と初期の活動

保守バプテストミッション（現在のワールド・ベンチャー）の協力団体である保守バプテスト同盟のモーゼス・サビナ氏を中心に設立された聖書図書刊行会は、当初から質の高いキリスト教関連書籍の出版を目指しました。神学生や一般信徒の信仰理解を深めるための書籍を刊行することで、日本の教会における教育・啓蒙活動に貢献することを目的としていました。

その代表的な出版物として、ヘンリー・H・ハーレーの『聖書ハンドブック』が挙げられます。この書籍は、聖書理解の助けとなる実用的な解説書として、多くの読者から高い評価を受けました。また、聖書注解シリーズも発行し、聖書の各巻書を詳細に解説した書籍を提供することで、聖書研究を促進する役割を果たしました。

聖書図書刊行会は、『レビ記』（S・H・ケロッグ著、榊原康夫訳）、『ヨハネによる福音書』（メリル・C・テニイ著、舟喜順一訳）、『コリント人への手紙』（キャンベル・モルガン著）、『使徒行伝』『ガラテヤ人への手紙』（メリル・C・テニイ著、島田福安訳）、『ヨハネの黙示録』など、多くの重要な聖書解説書を出版しました。これらの書籍は、日本のキリスト教界における聖書研究に大きな影響を与えました。2000年には、いのちのことば社より一部の書籍が復刻版として発行され、現代においてもその価値が再認識されています。

出版活動の変遷と主な出版物

1971年、聖書図書刊行会はいのちのことば社に編集、出版、販売業務を委託しました。これにより、出版活動は継続されましたが、聖書図書刊行会としての独立した運営は終了しました。しかし、聖書図書刊行会が出版した書籍は、日本のキリスト教界に大きな遺産として残っています。

聖書図書刊行会が出版した主な書籍には、神学校で教会史の教科書として広く用いられた『基督教全史 - 初代から現代まで 』（E・E・ケァンズ著）、組織神学の古典として知られる『組織神学』（ヘンリー・シーセン著、島田福安訳）、聖書概観シリーズである『新約聖書概観』（メリル・C・テニイ著、村岡崇光訳）と『旧約聖書概観』（サムエル・J・シュルツ著、鈴木昌訳）などがあります。これらの書籍は、高い学術性と分かりやすさを兼ね備えており、多くの神学生や信徒に活用されてきました。

聖書図書刊行会の貢献

聖書図書刊行会は、半世紀以上にわたる活動を通じて、日本のキリスト教界に数多くの優れた書籍を提供してきました。その出版活動は、日本のキリスト教信仰の理解と深まりに貢献し、今日まで大きな影響を与え続けています。神学校教育の充実や、一般信徒の聖書理解促進に尽力した聖書図書刊行会の功績は、高く評価されるべきでしょう。その活動は、日本のキリスト教出版史に重要な一頁を刻んでいます。

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