職業 (教科)

職業科の歴史と現状

職業科は日本の中学校教育において、かつての重要な教科の一つでした。特に中学校を卒業してすぐに就職する学生が多かった時代背景の中で、職業に必要な実務的な内容を学ぶことが求められていました。この科目は昭和22年の学習指導要領試案からスタートし、昭和30年代には正式に中学校の教科として設けられました。

教科の内容

職業科では、簿記、珠算、農業、工業、水産業など、さまざまな労働や実務に関する知識と技能がカリキュラムに組まれていました。これにより、学生は進学先の実業系高等学校での学びに役立つ基礎を築くことができました。実際、農業実習や工業実習などの実地経験は、理論だけではなく、実践的なスキルの重要性を教えるものでした。

学習指導要領の変遷

しかしながら、昭和33年に学習指導要領が改定され、職業科は技術と家庭科として再編されることになりました。その結果、職業科に関連する教科（農業、工業、商業、水産）は選択教科として残されたものの、昭和52年に再び職業科が義務教育から除外されることになりました。この経緯により、日本の義務教育における職業教育は形を変え、消滅することに至ります。

現在の職業教育

現在、職業に関連する教育は主に特別支援学校で行われています。特別支援学校の中学部には「職業・家庭」という科目が、高等部には「職業」という科目が設けられており、知的障害者の学生にも実践的な職業教育を提供しています。

職業科に関連する科目

職業科にはさまざまな関連科目がありました。これには産業概説、職業指導、農業や工業、商業、水産それぞれの専門的な実習が含まれ、学生は多様な分野での技術を学ぶ機会が与えられていました。これらの科目は、学生が実際の職場において効果的に機能するための準備を整える重要な役割を果たしていました。

教職免許状と取得方法

現代においても職業関連の教育職員免許状の取得は可能であり、そのための規則は依然として存在しています。特に「職業」や「職業指導」については、大学院での単位取得を通じて免許を得ることができる方法が残されています。ただし「職業実習」に関しては、法律上の規定があるものの、実際には難しいのが実情です。状況に応じて、国家資格を持つ者が教育職員としての資格を得る道もあります。

結論

職業科は、日本の中学校教育における一重要な科目でしたが、その形態は変わり続けています。特別支援学校を含む新しい教育制度の下では、依然として実践的な学びの重要性が認識されており、学生に対する職業教育の提供は続けられています。このように、職業に関する教育の進化は、時代のニーズに応じて変わりゆくものですが、その根底には実践的なスキルを教えることに対する強い意義があると言えるでしょう。

もう一度検索