肉の蝋人形 (1933年の映画)

肉の蝋人形：鮮やかな色彩と衝撃の結末が織りなす、不朽のホラーミステリー

1933年、名匠マイケル・カーティス監督の手によって生み出された『肉の蝋人形』（原題: Mystery of the Wax Museum）は、ミステリーとホラーを見事に融合させたテクニカラー映画として、今もなお多くの映画ファンを魅了し続けています。華麗な映像と、予測不能な展開が織りなす物語は、観る者を最後まで飽きさせません。

物語は、1921年のロンドンで蝋人形館を経営する彫刻家イワン・イゴールから始まります。しかし、彼の作品は人々から気味悪がられ、事業は失敗。投資パートナーのジョー・ワースは保険金目当てに蝋人形館を焼き払おうとしますが、イゴールとの争いの末、彼を置き去りにします。しかしイゴールは死んでおらず、12年後、ニューヨークで新たな蝋人形館をオープンさせます。火災で体を損傷した彼は、助手たちに蝋人形制作を任せることに。

一方、ニューヨークでは、記者フローレンス・デンプシーがモデルの自殺事件の調査を依頼されます。現場から遺体が消失しており、殺人事件の疑いが浮上。捜査は難航しますが、フローレンスは独自の調査を進めます。彼女は、イゴールの新たな蝋人形館に不審を抱き、館を訪れます。そこで、展示されているジャンヌ・ダルクの人形が、亡くなったモデルに酷似していることに気づきます。

イゴールは麻薬中毒の教授や、耳の聞こえない助手など、いかがわしい人物を雇っていました。そして、フローレンスのルームメイトの婚約者もまた、蝋人形館で働いていることが判明します。調査を進めるうちに、フローレンスは事件に何者かの陰謀が隠されていることに気づいていきます。彼女は、ジョー・ワースが密造酒を隠していた古い家を調べ、蝋人形館との関連性を発見します。やがて、麻薬の影響で取り乱した教授の証言から、イゴールこそが真犯人であり、殺害した遺体を蝋人形にしていたことが明らかになります。

フローレンスのルームメイト、シャーロットは、蝋人形館で働く婚約者に会いに行きますが、イゴールの罠にはまってしまいます。彼女はイゴールの正体―傷だらけの醜い顔―を目撃し、ショックを受けます。イゴールは、シャーロットを新たな蝋人形にする計画を実行に移そうとしますが、そこにフローレンスと警察官が到着。シャーロットは救出されますが、イゴールは射殺され、巨大な蝋の桶の中に落ちてしまうのです。

事件解決後、フローレンスは上司であるジムから愛の告白を受けます。金と愛という究極の選択を迫られたフローレンスは、愛を選びます。

この映画は、チャールズ・ベルデンの戯曲を原作としており、ワーナー・ブラザースが制作しました。同社が試用した3作目にして最後のテクニカラー作品であり、当時の最新技術を駆使した映像は、作品に独特の魅力を与えています。また、この映画は、フィルムが消失し、一度は失われたとされた後、奇跡的に発見・復元されたという、波乱に満ちた歴史も持ち合わせています。

『肉の蝋人形』は、ミステリアスな展開と衝撃的なラストシーン、そして鮮やかなテクニカラー映像で、多くの観客を魅了した、ホラー映画史上に名を残す傑作です。その後のリメイク作品や類似作品にも影響を与え、現代まで語り継がれる不朽の名作と言えるでしょう。 オリジナル版のミステリー要素と、リメイク版のホラー要素、どちらも魅力的な作品として、現在でも多くのファンを惹きつけています。

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