肉鰭類

肉鰭類：シーラカンスからヒトへ至る進化の道筋

肉脊椎動物'>[鰭]]類(Sarcopterygii)は、硬骨[[魚類]]の中で、シーラカンスやハイギョといった魚類、そして驚くべきことに私たちを含む四肢動物]を含むグループです。かつては綱や亜綱など、分類階級の扱いが揺れ動いていましたが、現在では[[硬骨[[魚類]]に属する主要な系統群として認識されています。

肉鰭類の最大の特徴は、その名の通り、肉質の鰭を持つ点です。この肉質の鰭は、骨格構造が複雑で、四肢動物の四肢へと進化する上で重要な役割を果たしたと考えられています。そのため、四肢動物を肉鰭類に含めるか否かで、系統樹上の位置付けが大きく変わってきます。四肢動物を含めないと、肉鰭類は側系統群(ある祖先とその子孫の一部からなる分類群)となりますが、四肢動物を肉鰭類の亜綱とすることで単系統群(ある祖先とその全ての子孫からなる分類群)とみなすことができます。しかし、後者の分類を採用すると、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類といった、通常は独立した綱として扱われる四肢動物の各グループを、下位階級に分類し直す必要が生じます。

内鼻孔と系統関係

シーラカンス以外の肉鰭類'>[シーラカンス]]を除く総[[鰭類]とハイギョは、内鼻孔と呼ばれる特徴的な器官を持っています。この内鼻孔は、外鼻孔とは別に、口の中に開口する鼻の通路です。このため、総[[鰭類]]とハイギョは内鼻孔魚類と呼ばれることもあります。しかし、ハイギョの内鼻孔は、他の総[[鰭類]]や四肢動物の内鼻孔と相同ではない可能性も示唆されており、系統分類上の議論が複雑さを増しています。そのため、四肢動物とオステオレピス類を含むグループを内鼻孔類(Choanata)としてまとめる分類体系も提唱されています。

分類：現生種と化石種

現在、肉鰭類には、シーラカンス、ハイギョ、そして四肢動物という3つの主要な系統群が存在します。さらに多くの化石種が知られており、その進化の歴史を紐解く上で重要な役割を果たしています。以下に、現生種の分類例を示します。(矢野(2006)、甲斐(2018)に基づく):

輻鰭下綱 (Actinistia)：シーラカンスが含まれる。
シーラカンス目 (Coelacanthiformes)
ハイギョ下綱 (Dipnomorpha)：ハイギョが含まれる。
オーストラリアハイギョ目 (Ceratodontiformes)
ミナミアメリカハイギョ目 (Lepidosireniformes)
四肢動物下綱 (Tetrapoda)：両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類が含まれる。

なお、肺魚亜綱と四肢動物亜綱をまとめて肺魚四肢動物亜綱(Dipnotetrapodomorpha)とする分類や、ハイギョ類の2目を亜目としてハイギョ目(Ceratodontiformes)とする分類もあります。

系統関係：複雑な進化の物語

化石種を含めた系統関係は複雑で、様々な説が提唱されています。例えば、かつては[シーラカンス]]目とオステオレピス目などを総[[鰭類]としてまとめていましたが、現在の分子系統学的解析に基づくと、[シーラカンス]]目は他の現生肉鰭類の姉妹群であると考えられています。オステオレピス目、リゾドゥス形類、エルピストステゲ類（パンデリクチス類を含む）は、四肢動物と単系統群(四肢形類Tetrapodomorpha)を形成すると考えられています。また、ポロレピス目は肺魚類]の姉妹群と考えられ、両者は肺魚形類(Dipnomorpha)を構成します。さらに、肺魚形類と四肢形類は、扇[[鰭類(Rhipidistia)としてまとめられることもあります。オニコドゥス類は、これらのグループより初期に分岐した基盤的なグループであると考えられていますが、扇鰭類の姉妹群として肺魚四肢動物亜綱に含める説も存在します。

これらの分類や系統関係は、今後の研究によってさらに修正される可能性があります。しかし、肉鰭類の研究は、脊椎動物の進化、特に私たちを含む四肢動物の起源を理解する上で、極めて重要な役割を果たしています。シーラカンス、ハイギョ、そして化石種といった様々な生物の研究を通して、生命の歴史における壮大な物語が明らかになりつつあります。

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